小原On-Line

小原克博: 2011年3月アーカイブ

 3月29日に同志社大学で、日本基督教学会 近畿支部会が開催されました。私は、全体の運営係を任せられていたため、前日から、大学院の学生さんたちと共に会場設営にあたり、当日も、ばたばたしながら会場準備をし、会場係をつとめました。
 これに限らず、3月後半は各種行事(会議を含む)がつまっていて、結果的に、一息入れることもないまま、新学期突入という状況です。
 日本基督教学会 近畿支部会の会場運営に奔走しながらも、自分が担当していた発表会場で、研究発表「生物多様性に対する神学的考察」を行いました。他の発表者のように原稿を用意することは到底不可能でしたので、私はA4で2ページ分のレジュメを用意し、それに基づいて発表しました。そのレジュメは、上記リンクにアップしています。
 まだ試論的な段階ですが、神学関係ではまだ未開拓の分野である「生物多様性」を取り上げました。個人的には、生物多様性こそ、人類存続のバロメーターであると考えています。
 録音もしましたので、後日、KOHARA Podcasts にアップできればと思っています。
20110318.JPG 3月18日、亀岡のNPO法人 大本イスラエル・パレスチナ平和研究所主催の講演会で「チュニジア、エジプトそして今後の中東は?」というテーマで話をしました。
 45分程度話をし、その後、45分質疑応答の時間を持ちました。質の高い質問が多数出され、かなり活発に質疑応答が行われました。
 私は中東の地域研究の専門家ではありませんので、地域の細部について言及するというよりは、中東情勢の背景にある大局を語るような話をしました。
 エジプトに関しては、先日、エジプトから帰国したばかりのサミール先生から鮮度の高い写真をいただき、また、説明もしてもらいましたので、それを一部紹介しました。ムスリム同胞団に代表されるイスラーム復興運動が議論の中心の一つとなりました。

 講演「チュニジア、エジプトそして今後の中東は?」のページに当日配布したレジュメを載せておきましたので、関心ある方はご覧ください。録音もしたのですが、今ばたばたしていますので、アップできるのはもう少し落ち着いてからになると思います。
 地震および原発関係のニュースが気になって、なかなか集中できない日々を送っています。
 毎日のように海外からも安否を尋ねるメールをいただきます。アジア、アメリカ、中東、ヨーロッパなどからメールを心配と励ましのメールをいただいていますが、関西はまったく被害を受けていませんので、何とも心苦しい思いがします。
 エジプトにしばらく滞在して最近帰国したサミール先生から、エジプトのこと、エジプトから日本の現状がどのように見られているかということを聞きました。エジプト大使館は、日本在住のエジプト人をエジプトに帰国させようとしているらしいのですが、サミール先生によれば、やはり反応が大げさすぎるとのことでした。しかし、放射能という見えない恐怖の前では、心配になるのもやむを得ません。

 遅ればせながら、「「読む」喜び──電子書籍が開く世界」(『京都新聞』2011年3月1日、夕刊)をアップしました。この記事の中でも少し触れている iPadの日本での発売は、地震の影響で延期されました。複雑な気持ちです。正直、iPadに触れるのを楽しみにしていましたが、現状ではお祭りムードは自粛すべきでしょう。
 iPadはともかくとして、この半年くらいの日本の電子書籍をめぐる状況を振り返ったような記事になっています。電子書籍の「見せ方」は着実に進歩してきています。新しい読書世界が開かれていくことを、私は期待しているのですが、その全体像はまだ見えていません。それだけに楽しみな領域であるとも言えます。
 2月に台北(台湾)で参加した Muslim World League 主催の国際会議 "2011 Dialogue: A Common Human Bond" については、すでに簡単な報告をしましたが、先日、佼成出版社のカメラマンの方が撮影してくださった写真をいただきました。
 自分の写真は、自分で撮ることができませんので、ありがたい限りです。さすがプロの撮影だけあって、ピントもアングルも、なかなかのものです。

Taipei1.jpg
私が壇上で発表しているところ。

Taipei2.jpg
発表中の壇上を会場側から撮影したもの。立派な国際会議場です。

Taipei3.jpg
質問しているところ。会期中、4回質問しました。たぶん最多質問者。

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全体が終了して記念撮影。中東およびアジアからの参加者(発表者)。お疲れ様です。
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 正式には上記タイトル、内々には、カリフ制会議として準備してきた国際会議の二日目を無事終えることができました。
 詳細をお伝えするパワーがもはや残っていませんが、カリフ制度の樹立をかなりまじめに議論する、ある意味、非常に危険なにおいのする会議でしたが、賛否両論が激しく交わされ、楽しむことができました。
 今回、海外からのゲストが論客揃いで、日本人同士ではあり得ないような白熱したバトルに立ち会うことができました。

 その一方、参加者の誰もが地震の様子が気になり、休憩時間のたびにニュースをチェックし、情報交換していました。心配と、直接的には何もできない無力感が、参加者の間でも共有されていたように思います。

 今年度のCISMORの行事も、これでようやく終了です。今年度後半は各種行事がびっしりと詰まっていましたので、ここまでの道のりが、とても長かったです。
 一息入れて、新年度の事業計画を考えたいと思います。
 3月12日、CISMOR講演会「東西間のイスラーム・カリフ制──歴史的考察と現在の展望」が開催されました。
 しかし、予定していた講師パンクフルスト氏の乗っていたロンドンからの成田到着便が地震の影響で着陸できず、小松空港に回され、結局、講演会に間に合いそうにないことが事前にわかっていました。
 すでに案内も出しているので、パンクフルスト氏からいただいていたペーパーを、通訳者の方に日本語にして代読していただきました。1時間もの英文和訳作業は、かなり大変だったと思いますが、実にわかりやい翻訳でした。
 国民国家(nation-state)の限界を指摘し、カリフ制の現代的可能性を提示する、なかなかラディカルな内容でした。
 その後、中田先生と内藤正典先生からコメントをいただきました。お二人とも熱弁を振るわれ、幅広い論点を確認することができました。最後に、フロアーからの質問を受け付けましたが、今回お招きしたゲストの方々が有益なコメントを加えていただき、バランスのとれた議論となりました。ロンドンのパンクフルスト氏の他、トルコ、フランス、インドネシアからゲストを招き、二日間にわたる研究会でカリフ制をめぐる議論を深める予定になっています。

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 講演会終了後、場所を移し、最初のセッションはボザルスラン先生(フランス社会科学高等研究員教授)に発表していただきました。テーマは "The End of Caliphate: Turkish Debates of 1924" というものでした。このあたりの知識を私は十分に持ち合わせていませんので難解に感じましたが、トルコ共和国の成立背景について理解を深めることができました。

 明日、さらに二つのセッションが続きます。毎日、仕事で外出しているので、風邪の直りが悪く、今日も喉と鼻の調子がすぐれませんでした。つらいところです。
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 3月11日、同志社大学の神学館礼拝堂で世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会 主催の平和大学講座が開催されました。一神教学際研究センター(CISMOR)は共催という形で開催に協力しました。
 植松誠氏(日本聖公会首座主教)の挨拶に始まり、WCRP日本委員会 平和研究所所員4名によるパネルディスカッションへと順調に会は進んでいたのですが、途中で、東日本で大規模地震が起こったとの連絡が入りました。多くの方が東京から来られていたこともあり、対応のため、急遽休憩を入れることになりました。
 その後、事態がかなり深刻であることがわかったため、主催者が会の中止を決定しました。私はパネルディスカッションを受けて、コメントをする役割になっていたのですが、それもなくなってしまいました。
 以上のような経緯で、かなり中途半端なところで終わってしまいましたが、とりあえずパネリストの最初の発表部分のメモを載せておきたいと思います。

 先日のフォーラム「共生社会と宗教」での発表「キリスト教と利他的実践」の音声データを iTunes の KOHARA Podcast にアップしました。
 10分程度の短いものです。当日風邪を引いていたため、何となく鼻声気味ですが、ご容赦を。
20110306.jpg 3月6日、フォーラム「共生社会と宗教──利他の実践は社会を救済するか?」が同志社大学で行われました。同志社大学ソーシャル・イノベーション研究センター、浄土宗、きょうとNPOセンターの主催によるものです。
 私はパネルディスカッションの中で「キリスト教と利他的実践」というテーマで、10分程度の短い話をし、会場からの質問に答えました。
 どうも昨日あたりから風邪を引いてしまったようで、のどが痛く、鼻水が大量に出てきて、会場に到着後も頭がぼっーとしていました。帰宅後、熱を計ると、37.4℃ありました。自分としてはよくがんばったのですが、今回は各発表のメモを取る気力が残っていませんでしたので、その点は、ご勘弁を。
 右の写真は、冒頭の櫻井義秀先生(北海道大学)の基調講演の一シーンです。会場は、ビジネススクールの教室を使ったのですが、座席がU字型に配置されたユニークな教室でした。
 私の発表部分は録音しましたので(鼻声ですが)、後日、アップしたいと思います。

 フォーラムの各発表もなかなか楽しめましたが、終了後の懇親会でいろいろな人と挨拶できたのも収穫でした。主催者の一人、浄土宗 應典院の秋田住職とも親しく会話を交わすことができ、また、秋田住職の近著『葬式をしない寺──大阪・應典院の挑戦』をいただきました。おもしろそうなので、早速、読んでみたいと思います。

 3月6日(日)、同志社大学でフォーラム「共生社会と宗教──利他の実践は社会を救済するか?」が開催されます。私も、その一部に参加します。
 関心ある方は、まずは下記案内をご覧ください。


 なお、事前申し込みになっています。下記ページから申し込むことができます。


20110302_1.jpg 3月2日、Afghan Reconciliation and Peace-Building の第二弾として、クローズドな研究会を開催しました。
 アフガニスタンから、タリバーンと関わりの深い Motawakil 氏を招きました。Motawakil 氏はパストゥーン語を話されるので、それを同行された通訳の方(Nazar氏)が英語にする形で議論をしました。
 右写真の右から二番目がMotawakil 氏です。ちなみに左でカメラを構えているのは、アフガニスタンで捕虜として捕まったジャーナリストの常岡さんです。今回も来てくださいました。

 Motawakil 氏は9.11同時多発テロ事件が起こったときのタリバーン政権の外務大臣でした。タリバーンは9.11に関与していない、との報道を世界に発表した人物です。ただし、その後のことは説明するまでもなく、アメリカによるアフガン空爆により、タリバーン政権は一度は完全崩壊し、現在のカルザイ政権が誕生しました。
 Motawakil 氏は、現在、タリバーン本体を離れ、ピース・ジルガに参画する形で現政権と関わっています。
 先に説明したような事情があったため、一時期、Motawakil 氏はアメリカからテロリストとして指名されていました。現在は解除されています。解除されていなければ、そもそも日本に入国できませんが、おそらくアメリカに入るのは無理だと思います。もちろん、彼自身、多くの仲間の命を奪った国アメリカに行こうとはまったく考えていないと思いますが。
20110302_2.jpg
 CISMORも、タリバーンの重要人物 Motawakil 氏をいきなり呼ぶことは難しいです。しかし、カルザイ大統領が同志社を訪ね、また11月のCISMOR研究会でサバウーン大臣をお招きした(→11月29日記事)という下地がありますので、今回のようなきわめて貴重な機会を実現することができました。
 タリバーンと聞いて、ポジティブな印象を持つ人は少ないことでしょう。しかし、今後のアフガン復興を考えると、彼らの存在抜きに物事を進めることはできません。軍事的に追い詰めるという行為が、果たしてアフガンに秩序と平和をもたらしてきたのかどうかを国際社会は考える必要があるでしょう。暴力的衝突を少しでも回避していくための対話や協力が求められています。

 議論は多岐にわたりましたが、以下に、わかりやすいポイントにしぼったメモをつけておきます。
 かなり久しぶりとなりますが、KOHARA Podcast に新コンテンツを追加しました。昨年11月20日の講演「科学・政治・宗教をめぐる暴力の系譜──21世紀的身体(こころ)を展望する」です。プレゼンテーションと連動するように作っています。
 下記ページのトップに掲載されています。


 ブラウザーからは音声しか聞こえませんので、プレゼンテーションと合わせて視聴するためには、iTunes でダウンロードして聞いていただく必要があります。

 本当の久しぶりのコンテンツ・アップであったため、やり方をかなり忘れかけており、苦労しました。
 今後は、授業を含め、もう少しまめにアップしていきたいと考えています。
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