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小原克博: 2011年2月アーカイブ

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 2月26日、石田訓夫先生を講師として「中東関係のはじまり──英国委任統治パレスチナと日本」というタイトルのCISMOR公開講演会を開催しました。
 中東関係というタイトルを見ると、どうしても、現在、中東で起きている抗議運動を連想してしまいがちですが、この講演では現代ではなく、現在の中東関係を規定した、その初期の頃の事情が、日本の関わりも含めて、論じられました。
 英国がパレスチナ問題に決定的な役割を果たしたことはよく知られていますが、その時代における日本外交については、この講演で多くのことを学ぶことができました。
 講師の石田先生は、外務省における長年の経験を踏まえながら、講演後の質疑応答にも丁寧に答えてくださり、満足度の高い講演会となりました。
 この後、場所を移し、研究会を行い、多数参加してくださった大学院生の方たちからも積極的な質問がなされ、さらに議論を深めることができました。
 講演のメモをつけておきますので、関心のある方はご覧ください。多少不正確な記述があるかもしれませんが、その点は、メモということであらかじめご理解ください。

20110225_1.jpg 台北から無事帰国しました。帰国の日の午前中は、猫空(Maokong)のケーブルカー(全長4キロ)に乗りました。猫空は「猫がいない」という意味らしいです(なぜ、そのような名前になったのかは知りませんが)。
 ぎりぎりまで他の参加者と市内周辺にいたため、空港に向かうのがぎりぎりになってしまいました。しかし、外交部の方が空港まで車を飛ばしてくださったおかげで、何とか間に合い、大急ぎでおみやげものを買うこともできました。

 今回のシンポジウムの各テーマや発表は、おもしろいものもあれば、そうでないものもあり、いろいろでした。また、言論統制のようなものも多少感じましたが、Muslim World League の最大のスポンサーであるサウジアラビアが、少しずつ世界の変化へと対応しつつあることは積極的に評価してよいと思いました。
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 リベラルな価値観からすると、「対話」をテーマに掲げながらも、中東情勢の変化やサウジアラビアの内実に触れられないのはストレスのたまる部分に違いありませんが、変化を急かしてはならないでしょう。私自身、議論のプロセスで、正直、イライラすることもありましたが、ゆっくりとした変化を見守っていかなければならないとの自戒を新たにしました。
 価値観の違いは確かにあります。しかし、まず交流を深め、共有できる価値基盤を少しずつ広げていくことからスタートしていかなければならないと思っています。
 台湾にいながら、アラビア語が圧倒的に多く飛び交い、また、ほとんどの参加者がムスリムという環境の中にいながら、不思議と居心地の良さを感じました。アジアおよび中東のムスリムと親しくなれただけでなく、Muslim World League の様子に触れることができたのは、私にとっては大きな収穫となりました。
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 今日は台湾・外交部がホスト役となって、台北市内ツアーがありました。
 午前中は、Taipei International Flora Exposition に行きました。日本でもあった花博の台北版と言ってよいでしょう。時間の都合上、全体のごく一部しか見ることができなかったのですが、かなりよかったです。
 数十万本という花が会場上にあるだけでなく、花に象徴される自然の恵みと人間とのハーモニーが一つのテーマになっています。そこにコンピュータやロボティクスがからんで、様々な体験のさせ方を工夫していますので、かなり私好みの内容でした。4月25日までですが、台北に行く予定のある方はぜひ立ち寄られるとよいでしょう。
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 もう一つ感心したのは、私たちのガイドをしてくれた女性(上写真中央)。流ちょうな英語で、とてもわかりやすく説明し、またサウジ人のおじさんの変な質問にも的確に答えていました。彼女の英語がすばらしかったので、どこで勉強したのかと尋ねると、台湾でということでした。アメリカにはごく短期間の語学研修に行ったことがあるらしいのですが、あとは国内で勉強したとのこと。日本人の若者も、がんばらないといけません。留学するお金がなかったとしても、やり方次第で、いくらでも語学力をつけることができるはずです。

 その後、Museum of World Religions という、普通の観光客が絶対に行くことのないような場所に行きました。この博物館は今回のシンポジウムのスポンサーの一つでもあったのですが、想像していた以上に規模の大きな博物館で、中にある展示物の質の高さにも驚かされました。関心のある方は次のサイトをご覧ください。


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 維持するだけでもかなりのお金がかかりそうですが、たくさんの来場者であふれていたことも驚きでした。これだけの規模の宗教博物館というのは世界的に見ても、あまり例がないと思います。

 その後、508メートル、世界第二位の高さを誇る Taipei 101 に行き、最上階まであがりました。今日も曇っていたので、すっきりとした眺望は得られませんでしたが、台北の全体を見渡すことができ、位置関係をしっかりとつかむことができました。

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 その後いったんホテルに戻って食事をし、夜8時から士林夜市に出かけました。
 延々といろいろなお店が立ち並び、若者たちで賑わっていました。こういう雰囲気の場所は、日本ではないように思います。
 ちょっとした食べ物も安く、日本人好みのスイーツもたくさん売られていました。
 夜の台北も魅力的です。とても一日で味わい尽くすことはできません。
 二日目の午前中、Encounter between Ecology and Eschatology というテーマで発表しました。午前中のセッション全体は倫理の問題をテーマにしており、私は環境問題への取り組みについて話すようにと主催者から言われていました。
 しかし、司会者がなぜか昨日出された質問をとりあげたりしているうちに、どんどん横道にそれていき、倫理的課題についての議論をしっかりとすることはできませんでした。私に対しては、宗教教育の問題について質問が投げかけられるという具体で、なんだかちぐはぐな進行でしたが、これもまたMuslim World League らしいと思いました。
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 サミール先生が写真を撮ってくれているのですが、USBメモリーのアダプターを忘れたため、その写真は帰国後にアップしたいと思います。

 今日はお昼休みが3時間もありましたので、会場の国立図書館からタクシーで30分程度のところにある国立故宮博物院に出かけてきました。中はすべて撮影禁止なので、どのようなものがあったのかは写真ではお見せできないのですが、歴代皇帝が収蔵した品々を中心に、中華文明の歴史をひもといていくような展示になっています。絵画、書画、経典、仏像、家具やその他のお宝が多数展示されており、中華文明のすごさがわかるようになっています。
 4000年近く前の新石器時代の品々も細かな技巧が凝らされており、感心しました。ちなみに、新石器時代という時代区分は日本では縄文時代にあたります。

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 今日の夜は、台湾の外交部(Ministry of Foreign Affairs)主催の夕食に招待されました。場所は、外交部のゲストハウス。これは旧・台湾日本総督府で、それを改装して現在のゲストハウスにしたようです。当時の日本調の建築様式が残っており、かなり豪華なつくりになっています。
 私の右側には元・大使が、左側には外交部の現職の職員が座り、彼らと中東情勢や台湾・日本の様子について楽しい会話を交わすことができました。
20110221_1.jpg Muslim World League 主催の国際シンポジウム 2011 Dialogue: A Common Human Bond の初日を迎えました。会場は、国家図書館(National Central Library)の中の会議場です。なかなか立派で、京都国際会議場の大ホールと比べても遜色ないほどのものです。
 一般の方も多数来場されており、入り口は大混雑でした。会場の中には7台ほどのテレビ撮影用のカメラが設置されており、撮影されたものが、アラブ世界の主要メディアに配信されるのだと思います。

 最初に偉い人たちの挨拶があり、最初のセッションのトップバッターは、同志社の同僚で友人のサミール先生。写真はすべて iPhone で撮影したもので画質が悪いのですが、右上写真の左側から二番目がサミール先生です。中国と日本におけるイスラームの受容について、田中一平らをとりあげて話してくださいました。

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 午前と午後のセッションの間に2時間の昼休みがあったので、会場の目の前にある「中正紀念堂」に韓国人の先生と一緒に出かけてきました。
 最初「中正紀念堂」が何かも知らず、「自由広場」と掲げられた大きな門のある公園を散歩視したのですが、「中正紀念堂」とは蒋介石を記念して19880年に建てられた建造物であることがわかりました。
 中には、蒋介石の写真や遺品などが多数陳列されており、見応えがありました。
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 左の写真は「中正紀念堂」のバルコニー部分から「自由広場」を撮影したものです。かなり巨大な公園です。
 公園の中央部分におもしろいものがありました。左写真の真ん中あたりに仮設されている建造物ですが、右写真がそれを近くから写したものです。何と看板には日本語で「光の盛宴 Luminarie」と書かれています。神戸のルミナリエの小型版が、この「自由広場」の中央に建てられていました。
 いつから始まり、どういういきさつでルミナリエがここにあるのかは、よくわかりませんが、へーっと思わせる風景でした。
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 無事、台北に到着しました。飛行機を降りるとすぐに、台湾の外務省(中華民国外交部)の方が待ち構えており、すーっと各種ゲートを通過、車で40分ほどで市内の The Howard Plaza Hotel Taipei に到着しました。
 外務省の担当者を含め、関係者はアラビア語が堪能で、こちらについてから聞いている会話は、英語・中国語よりアラビア語の方が多く、一体自分はどこにいるのだろうかと錯覚してしまうほどです。
 ホテルに到着して、ようやくプログラムや参加者リストを渡されました。アジアおよび中東から偉い方々がたくさん来ているようで、プログラムを見て、気後れしてしまいました。もっと気楽なものだと思っていたのですが、後の祭りです。
 今晩から、毎晩レセプションがあります。今日は、中国ムスリム協会の、明日はサウジアラビアの、明後日は台湾外務省の主催のレセプションがあり、それぞれから立派な招待状が来ていました。
 しかし、正直言うと堅苦しい雰囲気は苦手です。でも、おいしいものは食べたい。なんて、ぜいたく言っている場合ではないですね。レセプションは、大事な交渉の場ともなりますので、がんばって人脈を広げていきたいと思っています。
 台北は関西より少し暖かいです。しかし、終日雨模様。どちらにしても、この数日はプログラムが詰まっているので、外に出るチャンスはほとんどなさそうです。

 明日早朝より、台北へ出かけます。
 台北で行われる Muslim World League 主催の国際会議 'Dialogue, a Common Human Bond' に参加し、発表します。
 主催者より招待されたのですが、いまだプログラムの詳細については知らされておらず、どうなるのかは行ってみないとわからないという状況です。下記ページで概要を知ることができます。


 台北から様子をお伝えできればと思っています。
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 本日、遠路サウジアラビアから来客がありました。イマーム大学の Center for Islamic Contemporary Studies & Dialogue of Civilizations の所長 A. M. Al-Sumih 教授です(私の左の人物)。このセンターは国王直属のような性格があり、かなりの資金力を持っている様子。
 このセンターとCISMORが共催する形で、共同シンポジウムを開催できないかとということで、少しずつプランを練っているところです。
 私が原案を出したのですが、政治的な問題(民主化など)はやはりかなり敬遠されました。サウジアラビアの現状や国王がスポンサーになっているということを考えると、あまり無理も言えませんので、妥協点を探ることになります。話していると、アラブ流のやり方が少しずつ見えてきて、おもしろいです。
 長時間の腹の探り合いとなりましたが、第一ラウンドとしてはお互い満足できる合意点を見いだせたと思います。細部の詰めはこれからです。

 その後も何だかんだと仕事が続き、結局、昼ご飯を食べ損ね、パンをかじったのはようやく夕方の4時頃という有様でした。

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 夕方からは大学院のゼミコンパ。四条河原町近くの「ゆずのしずく」というお店に行きました。この3月で大学院を修了する人もいますので、お別れパーティーも兼ねることになりました。この2年、3年を振り返って語る大学院生の弁には、過ぎし日の懐かしさと共に、月日の過ぎ去る早さを感じざるを得ませんでした。
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 先日、東京に出かけたとき、近くにあった建物にのぼり写したのが右の写真です。さて、何でしょう? 建物の内側からの撮影ですが、わかる人にはすぐわかるかもしれません。
 答えを知りたい方は続きをどうぞ。
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 2月12日、CISMORと日本オリエント学会共催の公開講演を行いました。講師は、中部大学の中野智章先生。古代エジプトがテーマとなりました。
 折しも、同日、現代のエジプトではムバラク大統領の退陣が表明され、エジプトの対する関心が高まっている中、100名を越す来場者に恵まれました。

 CISMORではエジプトを含む中東をテーマとしてこれまでも扱ってきましたが、時代的にはどうしても近現代の事象に集中していまいがちです。日本オリエント学会との共催によって、古代オリエント社会についての学びができるのは、本当にありがたいことです。
 話はとてもわかりやすく、建築上まったく異なるように見えるピラミッドと神殿には隠された共通点があることが説得力ある形で示されました。
 また、古代エジプト王たちの倫理観の高さ(死後も民のために奉仕する)と現代のファラオ(ムバラク大統領)のコントラストが予期せぬ形で立ち現れてきました。

 この講演会で話題となったピラミッドやルクソールの神殿には、私も20年ほど前に行ったことがあるのですが、そんな秘密があったのか!と感心することがばかりでした。同じモノであっても、やはり知識をもって見ると、まったく違う世界が広がってきます。
 ちなみに、私が20年ほど前に見たエジプトの風景は、Photo Studio の1990年のところにアップしています。
 ふとしたことから目にとまったDVD「研究室へ行こう! 小原克博研究室」をYouTubeにアップしました。全体で30分ほどありますので、二分割しています。
  これはベネッセにより作成され、2007年にスカイパーフェクTVで放送されたものです。もう賞味期限が切れかけなので、ベネッセから文句を言われることはないと思いアップした次第です。4年ほど前のものなので、今となっては懐かしい内容を含んでいます。ベネッセ作成なので取材番組としての完成度は高いです。
  撮影の日、寝癖で左の方の髪の毛が激しく跳ね上がっていました。当時はまったく気にしなかったのですが、今見ると結構恥ずかしいです(笑)。 
 
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 2月8日、東京からイサム・ブカーリ氏(サウジアラビア王国大使館 文化部 文化アタッシェ、写真の左の方)が CISMORを訪ねてくださいました。サウジアラビアのアブドゥッラー国王の提案によるイマーム大学(サウジアラビア)とCISMORとの共同シンポジウムの企画についての最初の話し合いをしました。まだ具体的なことは何も決まっていませんが、実現に向けて意見交換をしました。
 いくつかこちらのアイディアを出したところ、イマーム大学の責任者が直接に話をする用意があるということで、イサム氏はその場で携帯電話でサウジアラビアに電話をし、日程調整をしてくれました。来週にも来日の予定です。アップテンポな話の進め方に意欲を感じると共に、感心いたしました。「鉄は熱いうちに打て」がサウジ流なのだそうです。
 イサム氏は非常に温厚な方で、気楽に話すことができました。まだ話は始まったばかりですが、サウジアラビアと日本の交流のために何かできればと思っています。
 ブログ更新が2週間以上滞ってしまいました。修士論文や博士論文のチェック、授業の最終段階突入(今年から15週になりました!)、CISMOR関係の行事等々が重なり、その上、インフルエンザにもなり、今まだ大量の学期末レポートおよび試験を手元に抱えています。というわけで、1月はなかなか厳しい1年の幕開けとなり、気がつけば、早2月という状況です。
 しかし、授業がようやく終わったので、少し気楽になりました。たまっている仕事を一気に片付けてしまいたいと思っているところです。
 また、ぼちぼちとブログに記事をアップしていく予定です。
 ひとまず、近況報告でした。
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自己紹介

近  著

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