小原On-Line

小原克博: 2010年11月アーカイブ

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 11月27日(土)、アフガニスタンからサバウーン大臣(Minister Advisor for Tribal and Nations Affairs to the President)とアンサリ氏(Director General of Peace Institute)を招いて、非公開のCISMOR 研究会を行いました。
 また、コメンテーターとして、アフガニスタンで拉致されたフリーランス・ジャーナリストの常岡さんをお呼びしました(右写真の一番左)。常岡さんが解放された際に、拉致の首謀者としてサバウーン大臣の名前があげられたのですが、実際にはサバウーン大臣やアンサリ氏が解放のプロセスにかかわっていたようです。
 山賊、タリバーン、それ以外の武装勢力などが複雑に絡み合っているようで、地方における治安安定までは、まだまだ時間がかかりそうだという印象を持ちました。
 サバウーン大臣は、旧ソ連軍のアフガン侵攻の際に戦ったムジャーヒディーン(ジハード戦士)でもあるので、アフガニスタンの独立性に誇りを持っており、現状のNATO軍の駐留に対しては否定的な見解を示していました。
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 不思議と、アメリカのことについては触れられなかったのですが、現在はカルザイ政権のブレーンの一人ですから、表だってアメリカ批判をすることは到底できないでしょう。
 私はアフガニスタンのことについては、あまりよく理解していなかったので、今回の研究会は何かと勉強になったのですが、同時に、アフガニスタンの現状を知れば知るほど、平和構築や復興支援が一筋縄ではいかないことを痛感させられました。

 研究会の最後に、サバウーン大臣から、アフガニスタンの帽子を記念の贈り物としていただきました。ムジャーヒディーンがかぶるものだということでした。左の写真は、その帽子をかぶっての記念撮影です(私の左隣はグローバルスタディーズ研究科の中西先生)。

 研究会終了後、京都駅まで移動して夕食を共にしました。普通なら、地下鉄ですーっといくのですが、さすがに大臣を地下鉄に乗せるわけにもいきませんので、観光客で渋滞の中をタクシーで移動しました。
 連日の研究会で、ちょっとばて気味ですが、すべて無事終了し、ほっとしました。

20101126_1.jpg 11月26日、CISMOR主催の講演会 Peace and Security in the Middle East: From Iran's Perspectives を開催し、その後、研究会を行いました。
 グローバルスタディーズ研究科の中西先生がコーディネートしてくださった企画で、イランから外交・安全保障関係の先生お二人をお招きしました。
 今回は、時間をフルに使いたいという中西先生のご意向を尊重し、英語オンリーの講演会であったため、どれくらいの来場者があるか心配していたのですが、会場となった教室が適度にうまるくらいの人が集まりました。
 イランの現政権のあり方を擁護するような形ではなく、きわめて客観的にイランの外交政策や安全保障を説明してくだり、多くの方が満足されたのではないかと思います。
 イランの特質は、何と言っても、イラン・イスラーム革命以降、経済的な利益よりも国家イデオロギー(その本体はペルシア的伝統とイスラーム的アイデンティティ)を一貫して重視してきた点にあります。

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 研究会では、核開発の問題や、アフマドネジャド大統領の過激発言の外交政策上の位置づけなどを問う、きわどい質問も出されましたが、理路整然と答えられていました。イランのトップ・エリートの知性の高さを垣間見ることができました。

 研究会終了後、カパドッキアというトルコ料理店(四条寺町上がる)に行き、ケバブをはじめとするトルコ料理に舌鼓を打ちました。寺町通りを歩いたのは数年ぶり。懐かしかったです。
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 先日、寒梅館の7階に行ったとき、今出川キャンパスの工事中の様子を一望することができました。右がその写真です。
 写真の右手奥にあるのが同志社礼拝堂。左手前にマーキングされているのは、遺跡の発掘調査のためでしょう。寒梅館から南側の一体は、かつて足利将軍家の邸宅があった「花の御所」として知られており、その周辺では、掘るといろいろと室町時代の貴重なものが見つかるようです。

 ということを考えていると、何ともタイムリーなことに、お宝発見の記事が目に飛び込んできました。

■ Asahi.com:足利義満創建の「鹿苑院」跡か 京都で遺構発見

 以下に冒頭部分を引用しておきます。

 室町幕府3代将軍・足利義満(1358~1408)が創建した「鹿苑院(ろくおんいん)」の遺構が、同志社大の今出川キャンパス(京都市上京区)で見つかった。建物は江戸時代の古地図に記されていたが、研究者は「存在が初めて裏付けられた」と説明する。同大が24日、発表した。
 同大によると、鹿苑院は大学に隣接する相国寺(しょうこくじ)の塔頭(たっちゅう)として、義満が1383(永徳3)年に創建した。義満の禅の修行場に使われ、当時の有力な禅寺「京都五山」(天龍寺、相国寺、建仁寺、東福寺、万寿寺)を統括する役割も担ったとされる。

 ちょうど、宗教学5「日本文化の中の宗教」で五山文化や花の御所について話したところだったので、授業を聞いていた学生さんたちは、この記事に興味津々のことだと思います。

 ちなみに、同志社大学は目下、キャンパス再編のため、いろいろと工事を行っています。今出川キャンパスの工事の様子は以下のページで報告されています。


 先日の講演会に参加してくださっていた朝日新聞記者の小林さんによる報告記事を掲載しました。
 限られた紙面の中で、ポイントをうまくまとめてくださっています。

■ 「「宗教と暴力」最新事例紹介」、『朝日新聞』2010年11月21日、朝刊(京都版)
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 公開講演「科学・政治・宗教をめぐる暴力の系譜──21世紀的身体(こころ)を展望する」(同志社大学神学部 基督教研究会主催、一神教学際研究センター共催)が11月20日(土)に開催されました。
 気持ちのよい秋晴れの日であったにもかかわらず、行楽地に向かわず、わざわざ会場まで足を運んでくださった方々にお礼申し上げたいと思います。

 当日配付資料を下記ページにPDFファイルとしてアップしていますので、関心のある方はご覧ください。


 一応、録音もしましたので、余力があれば音声データもアップするかもしれません。ただし、まだもうしばらく忙しいので、いつになるかわかりません。

 12月末まで、1週間おき、あるいは2週間おきに何らかの講演をすることが予定されており、授業の準備の合間をぬって、講演の準備をするのは、なかなか大変です。それに加え、(あまり考えたくはありませんが・・・)12月になると、一斉に修士論文提出の最終局面に付き合うことになります。
 紅葉の美しい季節、すべて投げ出して、ふらっーと、どこかに逃走したいような気持ちにも駆られますが(本当に!)、もう一踏ん張りしなければなりません。

 ちなみに、11月20日は私の誕生日。45歳となりました。「少年老い易く学成り難し」を実感しています。
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 11月14日(日)、上智大学グローバルスタディーズ研究科の大学院生たちが主催するシンポジウムに参加してきました。すべて英語で行われました。
 全体のテーマは、Islamism Entering New Epoch as a Legalized Political Party:
The Struggle between Ideology and Realpolitik というもの。イスラーム主義と政党の関係が中心的なテーマとなりました。
 キーノート・スピーチは、Amr Hamzawy (Research Director and Senior Associate, Carnegie Middle East Center - Beirut) 先生がしてくださり(右写真)、私と見市先生(岩手県立大学)がそれに対して、10-15分のコメントを述べました。私は、キリスト教徒の比較の視点を入れて欲しいと依頼されていましたので、キリスト教と政党の関係についても言及しました。
 午後は、他の大学院の学生も交え、大学院生たちによる研究発表がありました。しっかりと準備しており、専門外ながらも十分楽しむことができ、適宜、質問を投げかけました。
 モロッコ、クェート、インドネシア、トルコなど、それぞれ地域研究のフィールドを持ち、現地の言葉に習熟しながら、それをきちんと英語で発表できるのは、すばらしいことであると思いました。
 こういう大学院生主体の国際シンポジウムを通じて、すぐれた若手研究者が育てられていく様子を垣間見た思いでした。
 同志社でも、やりたいなー、とふと思った次第です。

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 11月7日(日)、京都の綾部で行われた大本開祖大祭に参加してきました。
 大本の祭りは大きなもの(大祭)が年に4回あり、今回の開祖大祭はその一つです。開祖大祭は、秋の新穀感謝祭も兼ねているので、神道の新嘗祭と共通点があるように思いました。
 末席に加えてもらうつもりで綾部に出かけたのですが、最前列の来賓席に座ることになりました。おかげで、間近に祭儀を見ることができ、きわめてラッキーでした。
 目の前を出口紅・第五代教主が何度も行き来していました(右写真)。貫禄があります。
 教主様とは一度、偶然鉢合わせしたことがあり、そのことは2007年12月4日の記事に記しています。
 新興宗教の中でも、戦時下においてもっとも厳しい弾圧を受けたことが、私が大本に関心を寄せるようになったきっかけにあります。また、「万教同根」という教えもユニークで興味深いです。

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 企画展示も行われており、そこで大本初期の各種のモノを見ることができたのですが、私にとって驚きであったのは、開祖・出口なおの「お筆先」(霊感を受けた自動書記のようなもの)が、実に無防備に展示されていることでした。こんな大事なものをさりげなく置いているあたりに、大本のすさまじい寛大さを感じます。

 開祖大祭は私にとって、とても興味深く、あれこれ記録しておくべきこともあるのですが、目下、多忙の極みのため、後日また追加の報告をしたいと思います。ビデオも撮っているので、コンパクトに編集して開祖大祭の様子をお伝えできればと思っています。

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 11月6日(土)、以下のような公開セミナーを開催しました。今回は、村田先生がすべてやってくださったので助かりました。

同志社大学一神教学際研究センター、East-West Center、笹川平和財団共催 公開セミナー
「Japan Matters for America/ America Matters for Japan
―日米関係の歴史と課題」

【モデレーター】村田晃嗣(同志社大学法学部教授/CISMOR幹事)
【パネリスト】
サトゥ・リメイェ(イーストウェストセンター・ワシントンオフィス
ディレクタ-)
アンドリュー・オロス(ワシントンカレッジ准教授)
林 敏彦 (同志社大学総合政策科学研究科教授)

 各人ともわかりやすい話をしてくれ、来場の方々も十分楽しむことができたのではないかと思います。
 今回初めて、East-West Center の活動内容を知ることができたのは有益でしたが、特に次のサイトのように、アメリカの州ごと、日本の都道府県ごとの非常にわかりやすいデータを提供してくれていることには驚かされました。国単位での比較はよく見かけますが、こうした地域性を反映させたデータ(グラフ)は、あまり見かけないのではないでしょうか。一見の価値ありです。

 今日、散歩していたら偶然、ナナフシを見つけました。ほとんど枯れ枝と見分けがつかないほどでしたが、わずかな動きを見逃さずに発見。つかまえて、しばらく観察していました。
 どうやって、これほど枝に似ることになったのか、まさに生命の神秘です(大げさですが)。最近はやりの「生物多様性」(biodiversity)という言葉も頭をよぎりました。
 じっとながめていると、遠くで「熊の目撃情報がありましたので気をつけてください」とのアナウンスが聞こえてきました。かなり近くで熊が出たようです。これも「生物多様性」の当然の姿なのですが、人間様は、それをそのまま受け止めることができないほどに「生物多様性」を攪乱し続けてきているということなのでしょう。
 短いナナフシ・ムービー(36秒)を YouTube にアップしました。ご覧ください。


 以下のように、公開講演会が予定されていますので、お知らせします。案内のPDFファイルを下につけておきますので、関心ありそうな方に送るなど活用していただければと思います。



科学・政治・宗教をめぐる暴力の系譜
─ 21世紀的身体(こころ)を展望する ─

 西洋では近代化と共に社会は機能分化を遂げ、公的領域には政治や科学が配置され、宗教は私的領域に置かれるようになった。政教分離は近代化・世俗化の帰結であるだけでなく、宗教と結びついた過剰な暴力を抑制するための知恵でもあった。しかし、近代化によって暴力全体が抑制されることはなく、むしろ、科学・政治・宗教において、暴力の現象形態は分化していった。
 また、社会の機能分化と共に、人間もまた分割的に理解されてきた。しかし、思想・信条(こころ)と身体(社会的次元)を簡単に切り離すことはできず、こころの身体的「可視化」を求める運動が様々な形で起こっている。それは世界各地の宗教復興現象から、同性愛をめぐる議論(アメリカ)やムスリム女性のヴェール論争(ヨーロッパ、トルコなど)に至るまで多岐にわたる。そして、それぞれの議論の場が、時として、暴力的言説、さらには暴力そのものを生み出すことがある。多様な暴力を21世紀的身体はどのようにコントロールしていくことができるのか。
 本講演では、暴力の系譜をたどりつつ、現代における暴力(紛争・戦争を含む)とどのように向き合っていったらよいのかを考える。

【講 師】小原 克博
同志社大学神学部教授、一神教学際研究センター長

●日 時  
2010年11月20日(土)午後1時〜2時30分
●場 所  同志社大学 新町校地 臨光館205(2階)
●プログラム
司 会:石川 立(同志社大学神学部教授)
[講  演] 小原 克博
●入場無料、事前申込不要
●主 催  同志社大学神学部・神学研究科(基督教研究会)
 共 催  一神教学際研究センター(CISMOR)
●お問い合わせ 神学部・神学研究科事務室(075-251-3332)

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