小原On-Line

小原克博: 2007年10月アーカイブ

071031 今年はなぜかレモンが大豊作。一本の木に60~70個くらいの実がついています。本来なら、きちんと間引くべきなのでしょうけれども、何もしていません。しかし、どの実も十分立派な大きさにまで生長しています。
 レモンの苗木を買ってきたときには(6年ほど前)、膝下くらの高さしかなかったのですが、今や2メートル半くらいの高さになっています。あのひょろひょろの苗木が、たわわに実をつけるまで大きくなったことを考えると、時の移りゆきの早さに驚かされます。

 レモンは、ばくばくと食べるわけにはいきませんので、明日の大学院のゼミで学生たちにお裾分けしようと思います。取れたてのレモンはジューシーでおいしいですよ。

 ちなみに、いちじくの木は二本あるので、毎日、2~3個ずつくらいのペースで熟した実を食べることができます。

 「神学部ニュース」(ブログ)に、『信徒の友』さしあげます、という案内を出しました。今、私は学部の中で「研究室主任」という役についており、図書・研究室全般の責任を負っています。その関係で、いただいた本や雑誌の整理もしており、今回のような案内を出して、余剰雑誌の有効利用を呼びかけている次第です。
 『信徒の友』は日本キリスト教出版局が出している月刊誌です。バックナンバーは、時代の変遷を感じることのできる貴重な歴史資料でもあります。
 欲しい方は、下記のページをご覧の上、お申し込みください。

http://shingakubu.exblog.jp/7642049/

 10月22日(月)に行われた、フランシス・フクヤマ氏による講演会「21世紀における自由民主主義の将来」の動画がアップされましたので、関心ある方はご覧ください。
 ただし、翻訳権の関係から、講演は通訳部分を省いた英語のみとなります。英語の苦手な人には、ちょっとつらいかもしれません。
 しかし、講演の前後にある森先生による紹介や解説は日本語で、なかなかうまく要点と課題をまとめています。国際ワークショップでどのようなことが議論の焦点になったかについても言及されていますので、英語が苦手な方は途中を飛ばして、後半の10分くらいを聞いていただいてもよいと思います。
 リベラル・デモクラシーは普遍的か?
 突き詰めれば、この問いになると思います。フクヤマ氏の答えは、時間はかけなければならないが、という条件付きで「イエス」。イスラム側からは、世俗化を前提にした近代化や、その帰結としてのリベラル・デモクラシーに対しては「ノー」が突きつけられていることが、紹介されています。
 21世紀の民主主義は、どう展開していくのでしょうか? 興味が尽きません。

■フランシス・フクヤマ「21世紀における自由民主主義の将来」
http://www.cismor.jp/jp/research/lectures/071022.html

071025 右の写真を見て、これが何か、すぐにわかる人は、おそらく使用経験者でしょう。
 これを昨日買いました。一番安いものを選んだので、900円ほどでした。6433の数字が見えます。
 もうわかったでしょうか。答えは、万歩計。今日、大学まで行って帰ってきて、6433歩歩いたということで、1万歩には、はるか及びませんでした。(T_T)

 「万歩計なんて、じじくさい!」とつい数日前まで思っていたのですが、先日の国際ワークショップのとき、村田晃嗣先生(法学部)と話していたときに、万歩計を愛用しているとのこと。あまり大きな声では言えませんが、村田先生はアメリカに2ヶ月行っている間に?キロ体重が増えたそうで(?は結構大きな数字です)、減量対策のために万歩計を常時装着しているとのことでした。
 万歩計の話しをしていると、隣に座っていた細谷先生も万歩計を使っており、一万歩に達するには、けっこう苦労するとの話し。
 う~ん、万歩計がトレンドであることを、そのとき痛感し、衝動的に購入し、使用を開始した次第です。
 どれくらい続くかわかりませんが、たくさん歩いていると思っていっても、一万歩にははるか及んでいなかったことがわかったのは、大きな収穫でした。
 京都御所でジョギングして汗を流しているフランシス・フクヤマ氏の姿をイメージしながら、明日から、一万歩目指して、がんばりたいと思います。

 小原克博 On-Line に、「寒くて暑い世界の中で」(「現代のことば」)(『京都新聞』2007年10月17日、夕刊)を追加しました。
 地球温暖化核の冬終末期医療を引っかけています。「終わり」との向き合い方をテーマにしています。
 核の冬は、一応、過去のこととして書いていますが、核の危機は決して減少していないと思います。先日の国際ワークショップでも、近未来のテロリズムの最大の問題は、テロリストたちが核を手にしたときだ、という話題が出ました。これはきわめて現実的な問題です。
 しかし、米国を筆頭に、核不拡散の課題への取り組みは低調で、本来もっとも一生懸命旗振り役を務めなければならない日本は、この分野に関して、十分な国際貢献をしてきたとは到底言えないでしょう。
 今、米国の各地で原爆展が開かれています。原爆の悲劇を伝えることは、日本に託された重要な使命の一つです。しかし同時に、その課題をどうやって現代世界の課題、特に核不拡散の問題に接続していくのか、という視点がまだ十分ではないように思います。
 地球温暖化だけでなく、核の危機もまた、人類の未来を脅かす進行中の課題であると言えるでしょう。

071022 本日午後1時から、神学館礼拝堂で、フランシス・フクヤマ教授に名誉学位の授与がなされました。
 私は1時15分から授業があったため、式典の冒頭部分だけ参加し、途中退席しました。右の写真は、フクヤマ氏が講壇近くに立ち、讃美歌を歌っているシーンです。肝心な学位授与の瞬間までは立ち会うことができませんでした。
 フクヤマ氏の入場前に、ごく短く会話を交わし、途中退席しなければならない旨を伝えました。この二日間、疲れたと思うのですが、まったくそのような様子はありませんでした。
 聞けば、今日の朝、京都御所を1時間ほどジョギングしたそうです。健全な精神は健全な肉体に宿る! 見習いたいものです。

 授業のため、公開講演会も参加することはできませんでした。平日の2:30からという時間にもかかわらず、400名を超える来場者があったそうです。講演については、CISMORのサイトで、後日、ストリーミング・ビデオを見ることができると思います。

071021 二日目、第3セッションはタリク・ラマダーン氏に、第4セッションはノーマン・フィンケルシュタイン氏に発表をしていただきました。右の写真は、第4セッションのもの。左にいるのは、コメンテーターの村田先生です。
 今回は、全体を通じて、かなり密度の濃い議論を交わすことができたように思います。
 5年もやると、さすがに慣れてきて、まったく緊張しないのが恐ろしいほどです。5年前であれば、準備段階から四苦八苦し、1週間も前から妙に緊張したものですが、今や、CISMOR事務局が熟練の域に達し、ロジスティク関係はほとんどすべてを信頼して任せることができるようになりました。
 とはいえ、司会は妙に気疲れし、終わるとぐったりしているのがわかります。座っているだけなのですが、発言内容が、反ユダヤ主義やイスラエル批判におよぶと、緊迫したムードが漂い、内心ドキドキしてしまいます。イスラエル・パレスチナ問題やイスラエル・ロビー、イラク戦戦争の開戦理由などをめぐる議論は、さすがに一筋縄にはいきません。

 国際ワークショップ終了後は、先斗町の風南に行って、夕食会。外国人のゲストをよく連れて行く、雰囲気のよいお店です。

 帰宅する頃には、さすがにどっと疲れが出ましたが、月曜日はしっかりと授業があります。これから準備をします。(T_T)
 明日は、お昼からフランシス・フクヤマ氏の名誉学位授与式があります。講演会は、授業の時間帯と完全に重なるので、残念ながら行くことができません。ご都合つく方は、ぜひ行ってください。世界のフクヤマを間近に見る機会は、そう多くはないと思いますので。

071020_1 CISMORの国際ワークショップが、今日と明日行われます。
 初日の今日は、フランシス・フクヤマ氏(ジョンズ・ホプキンス大学)とヴァエズィー氏(イラン・バーゲロルオルーム大学)に発表してもらい、二つのセッションを行いました。
 今回、全部で4つあるセッションのうち、二つの司会を私がすることになっており、少々気疲れしますが、今日のセッションは非常に白熱し、実りある議論がなされました。

 フクヤマ氏はさすが、というべきか、非常にシャープな方でした。世のように投げかけられる質問にも、丁寧に答えられていました。
 フクヤマ氏の『歴史の終わり』『アメリカの終わり』は、まだ読まれていない方にはおすすめします。その主張に賛成するかどうかはともかくとして、現代アメリカのトップレベルの知性のあり方をかいま見ることができます。
071020_2  右上の写真は、レセプションのときに撮影したものです。中央にいるのがフクヤマ氏です。彼はまったく日本語をしゃべることができないのですが、その落ち着いた謙虚な物腰は、現代日本人が失ってしまった美徳を体現しているかのようでした。
 「ラスト・サムライ」と呼びたくなるような雰囲気をたたえています。映画「ラスト・サムライ」の続編があれば、トム・クルーズの代わりに、フランシス・フクヤマに主役をつとめてもらった方がよいと思うほどです。(^_^;)
 世界的に有名な、ほんとうに立派な先生だと思いますが、まったくえらそばったところがありません。

 フクヤマ氏との会話で教えられた、驚いた話しがあります。彼のお父さんは、アメリカで宗教社会学、教会史(特に会衆派)の教授だったのですが、1970年代にはじめて日本を訪れ、同志社大学神学部に半年間、客員研究員(あるいは客員教授)として滞在されていたそうです。意外にも身近なところにつながりがあったのだと驚いた次第です。

 今日、同志社大学の邦楽部のLunchtiem Concertに行きました。三部構成の二番目のところで、私の大学院ゼミのアレック・ラメイさんが尺八ソロをするというので、これは絶対行かねばと思い、参加しました。
 寒梅館のラウンジでやる演奏ははじめて聴いたのですが、リラックスした雰囲気の中で、音響も悪くはなく、邦楽曲が心にしみました。邦楽の現代曲などは、非常にアップテンポで、邦楽という感じがしないくらいに現代風にアレンジされています。しかし、箏、尺八、三味線の奏でる音楽は、普段聞き慣れた音楽とは違う独特な音色を作りだしています。いや~、邦楽、なかなかいいですね。
 ラメイさんが演奏したのは、現代曲ではなく、尺八古典曲の「心月調」。これは、しぶい!!しぶすぎるくらいに古典調。楽譜で音が表現できないので、特別の師匠から学ぶしかないそうです。彼はカトリックなのですが、カトリック・マインドは日本の古典芸能の深みを理解できる感受性を持っているような気がします(プロテスタントと比べてという意味ですが)。

 このしぶさ、わたしにはぐっと来ましたが、みなさんはいかがでしょうか。お聞きになってください。

 今日、映画「パンズ・ラビリンス」を観てきました。
 ストーリーなどの詳細は下記サイトを見ていただきたいのですが、1944年(つまり戦時下)のスペインが舞台になったスペイン語の映画です。
 現実の生々しさ(残酷さ)と「おとぎ話」が絶妙にミックスされた作品と言えるでしょう。
 ただし、「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」などとは完全に趣を異にします。ハリウッド的なおとぎ話を期待すると、その期待を裏切られます。
 新聞広告には「この秋最高の感動を、あなたの心の奥深くにお届けします」といった宣伝文句が書かれていますが、これはミスリーディングな表現です。見終わった後、すがすがしい秋空のような感動に満たされて・・・という映画ではありません。
 ですが、それだけに、ずっしりとしたリアリズムとファンタジーの組み合わせは、後にじんわりと残るものがあります。これは大人向けのファンタジーです。
 私は、この手の映画が好きですが、ハリウッド的なハッピーエンドを求める人には、おすすめできません。とはいえ、「百聞は一見にしかず」ですから、関心を引かれた方はご覧になってください。キリスト教的なモチーフも隠し味として使われています。

■パンズ・ラビリンス
http://www.panslabyrinth.jp/

071014_1 近所の川の側道に沿って、コスモスが咲いているのを見つけました。去年まで、まったく気づかなかったので、おそらく新たに植えられたものだと思います。
 6月には、ほたるが飛び交う川に沿って、500メートルほどコスモスが咲き乱れていました。右の写真は、比良山をバックにして撮影したものです。すぐ近くをJR湖西線が走っています。

071014_2_2  左の写真は、モモ(右、4才)とノエル(左、1才)をだっこして撮したものです。犬は、カメラの方を向きませんね。(^_^;)
 日中でも、散歩しやすい季節になりました。

 小原克博 On-Line の Virtual Lectures に、 「暴力の臨界と平和主義――教育再生から憲法9条まで」 (大阪南YMCA キリスト教オープンセミナー)を追加しました。
 音声とパワーポイントを連動させています。
 マイクの取り付け位置が悪かったせいか、時々、ごわごわした雑音が入っていますが、音声は問題なく聞き取れると思います。

 今日は休日でしたが、同志社大学では、普段通りに授業が行われました。他の大学ではすでに休日開講が一般的になりつつあるようですが、同志社では今回はじめて。
 同志社の「ゆるさ」がけっこういいと思っていたのですが、やはり、文科省などの手前、どの曜日も、一定の授業回数を確保する必要があるようです。
 休日授業は、休日が一回なくなり損したような気になりますが(・・・と言ってはいけませんね)、学生たちからはあまり不満の声は聞こえてきませんので、これはこれでよいのでしょう。
 休日のおかげで、普段なら満員のはずの夕刻の電車が、がらっと空いていたのが、妙に新鮮でした。

071007 10月6日(土)、同志社大学東京オフィスで、下記のようにCISMOR研究会を行いました。

テーマ「共存を妨げるもの―イスラームの場合」
・内藤正典(一橋大学大学院社会研究科教授)
  「西欧社会は、なぜ自ら共生の道を閉ざすのか」
・中田 考(同志社大学大学院神学研究科教授)
  「イスラームにおいて共存を妨げるもの」

 内藤先生は、オランダ、フランス、ドイツ、トルコなどの事例を織り交ぜで、現在のヨーロッパ社会の現状をわかりやすく説明してくださいました。きちんと現場を踏まえたリサーチを続けておられるだけに、聞いていて非常に安心感があります。
 ヨーロッパの中でももっとも寛容として知られていたオランダにおいて、この数年、もっとも多くムスリム関係の事件が起きていることの背景を納得して聞くことができました。イスラム嫌悪感情(Islamophobia)をかき立てているのは、一般的に極右勢力だと思われていますが、今、もっとも排外的なのはリベラル派だということです。ヨーロッパにおけるリベラル派の意味は、日本で使われているのと少し異なりますが、リバタリアン的防衛本能が、リベラル派を反イスラム的な方向に駆り立てているようです。
 オランダは伝統的に多文化主義政策をとっていますが、棲み分け的な多文化主義が硬直すると(領域間の流動性を失うと)、アパルトヘイトに酷似してしまう、という指摘も印象的でした。これは、これからの日本も学ばなければならない教訓の一つだと思います。
 各国政府が、ムスリムに対し divide and control 政策(よいムスリムと悪いムスリムに分ける)を教化していることも懸念材料として示されていました。

 中田先生は、カリフ制を樹立することが大事だという持論を展開されていました。理想を追求し続ける姿勢は立派です。

 最近、内藤先生が編著者として出された次の本はおすすめです。

『神の法VS.人の法―スカーフ論争からみる西欧とイスラームの断層』(日本評論社)

071006  10月5日(金)、神戸ベイシェラトンホテル&タワーズで行われたTag der Deutschen Einheit(ドイツ統一の日)記念レセプションに出席しました。東西ドイツの統一を記念して、毎年行われる行事ですが、今年は統一17周年となります。
 東西ドイツは1990年10月3日に統一しています。ちょうど、そのとき、私はドイツに留学中でした。

 今回は、ザクセン州のアピールがあり、何と、ザクセン州首相が一人ひとりと丁寧に挨拶をし、握手を交わしていました。私も、普段あまり使うことのないドイツ語で簡単に挨拶をしました。
 ザクセン州といってもピンと来ないかもしれませんが、ライプツィヒ、ドレスデンを含むドイツ北東部の州です。陶磁器のマイセンでも有名ですね。

 360名ほどが記念レセプションに出席していました。当然のことながら、ドイツ人密度が高い! ドイツ人にとって、祖国統一は、とてつもなく大きな意味を持っていることを感じる一時でもありました。

 『歴史の終わり』で世界的に有名なフランシス・フクヤマ氏の公開講演会を下記のように予定しています。

同志社大学名誉学位贈呈記念講演会
「21世紀における自由民主主義の将来」

日時:2007年10月22日(月)14:30-16:30
講師:フランシス・フクヤマ(ジョンズ・ホプキンス大学教授)
会場:同志社女子大学今出川キャンパス 栄光館ファウラーチャペル
(逐次通訳あり/入場無料/事前申込不要)

 10月20~21日、CISMORの国際ワークショップがあり、その参加者の一人としてフクヤマ氏を呼びました。その続きで、22日に名誉学位の授与と公開講演会を行うことになった次第です。

 フクヤマ氏をぜひ呼びたいと、実はかなりの思いつきで発案しました。ところが調べていくと、フクヤマ氏は同志社と関係が深いことがわかったのです。徳富蘇峰の血筋にあたり、またフクヤマ氏のお母さんは湯浅総長の秘書をつとめた方でもあります。
 こういったことを奇遇にも知るに及んで、「これならいける!!!」とお声をかけたところ、OKのお返事。
 荒唐無稽に思えるアイディアも、ためしてみるものですね。

 かなりおもしろい講演会になると思いますので、ぜひお近くの方はご参加ください。

 ついに秋学期が始まりました。いきなり3時間連続の授業だったので、少々くたびれました。
 今学期の講義科目の一つ、組織神学4「現代神学のフロンティア」は、当初160名ほどの登録者だったのですが、直前に100名の追加登録があり、配付資料の緊急増刷など、けっこう慌てました。
 学期の始まりは、先が長く感じられ、気が遠くなりますが、とにかく、毎週丁寧に準備すること心がけ、学生さんに対してだけでなく、自分にとっても満足いく内容にしていきたいと思っています。

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自己紹介

近  著

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