今日は、高校生向けの「同志社大学 大学入学準備講座」の講義をしました。高校1年生から3年生までが来ていましたので、普段やっているのと、まったく同じレベルではなく、高校生向けにわかりやすいようアレンジした講義を行いました。
タイトルは「ヒトはなぜ戦争をするのか?――平和主義を問い直す」です。案内パンフには、以下のような講義概要を記しました。ちょっと長いですが、引用しておきます。
野生動物の世界には弱肉強食の戦いがあります。しかし、食べ物をめぐる争いであれ、ボスの座をめぐる争いであれ、動物の場合には、一定の段階でブレーキがかかります。必要以上の闘争を避けるのは本能の一部だと言えます。
ところが、ヒトはどうでしょうか。戦争は人類の歴史と同じほどの長さを持つとさえ言われています。そして、いまだに紛争や戦争は終わる気配を見せません。自分や家族の生命が脅かされる戦争を喜ぶ人はいないはずです。にもかかわらず、戦争がなくならないのは、なぜなのでしょうか。
20世紀には二つの世界大戦がありました。近代兵器が本格投入された第二次世界大戦では、人類史上、もっとも多くの戦争犠牲者が出ました。戦争の悲劇に対する異なる立場を考えるために、本講義では、ヨーロッパで起こったユダヤ人の大虐殺(ホロコースト)とヒロシマ・ナガサキの原爆投下を取り上げます。
日本では戦後、武力を放棄することを謳った日本国憲法の平和主義を軸として、反戦平和思想が学校教育の中でも大切にされてきました。しかし、平和主義とは何でしょうか? 改憲議論が進んでいる今日、少し広い視野で平和主義の意義を考えてみましょう。
米ソの冷戦終了後も、地球上から争いはなくなっていません。イラク戦争、イスラエル・パレスチナ問題、各地で頻発するテロリズムなど、宗教や価値観の違いが関係している紛争が日々のニュースとして伝えられています。9・11同時多発テロ事件以降、「文明の衝突」といった言葉も頻繁に聞かれます。本当に文明は衝突しているのでしょうか?
紛争解決や戦争回避のために、私たちに何ができるでしょうか。現代の状況と今後の展望を踏まえて、共に考えていきたいと思います。
講義は録画されており、後日、公開されることになると思います。
高校生の方々には、理解してもらえたかな~ (^_^;)