小原克博: 2007年7月アーカイブ
今日、龍谷大学を会場にして、京都・宗教系大学院連合の研究会が行われました。
国際交流基金を通じて来日していたテヘラン大学(イラン)のザルバーニ先生をお招きし、「イマームとブッダの比較研究」というタイトルで発表していただきました。
シーア派イスラームにおけるイマーム理解を中心に話してくださり、大乗仏教の三身論との類比関係を時折織り交ぜていました。
仏教とイスラームとの対話、比較研究は、まだほとんど手が付けられていない状況であるだけに、今回の研究会は仏教研究者にとっても貴重な機会になったと思います。
イマームは、単に預言者ムハンマドの後継者であるというだけでなく、超・人間的な側面を含めてシーア派信仰の重要な部分になっていることが、わかりました。
ただし、イマームの超・人間的な側面は、スンナ派からはかなり否定的に見られていますので、事柄は単純ではありません。
イマームをどのように理解するかが、現代のアヤトーラとしてのホメイニやハメネイへの忠誠にもつながっていくのではないか、という質問が、コメンテーターの森先生から発せられましたが、これについては明確な返答はありませんでした。
8月終わり頃まで京都に滞在されますので、いずれ、細かい点についてもお聞きできればと思っています。
京都・宗教系大学院連合の国際化の第一歩として、今日の研究会は意義があったと言えます。
今日は、未来エネルギー研究協会 主催の第7回サマースクールで「ヒトは「環境」とどのように向き合ってきたのか?――暴力の臨界と科学倫理 」と題して話しをしてきました。
聞き手がどのような人たちがよくわからなかったので、とりあえず、エネルギー問題や環境問題にひっかけて話しを展開しました。
到着してから参加者リストを見ると、京大関係の先生方のほか、核融合などを専門にしている大学院生(京大、京都工業繊維大学)たちが多くいることがわかりました。
このサマースクールでなされた他の講演資料などを見ると、核融合、スプリング8、超伝導、プラズマ、ヘリオトロンなどの言葉が散りばめられており、ようやく、どのようなグループであるのかイメージができてきました。
普段の自分の研究とまったく異なる分野の研究者たちに話しをするのは刺激的で、私にとっては貴重な経験となりましたが、どれほど話しが伝わったかどうか・・・
アインシュタインが核兵器の開発をルーズベルト大統領に進言するも、ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下後にその凄惨さを知って、大いに後悔する、といった話しを織り交ぜながら、最終的に、科学倫理のあり方、科学者の社会的責任を問う内容になりました。
現在進行中の柏崎刈羽の原発事故の問題にも触れながら、原発の安全神話が崩れつつある状況の中で、どのようにして科学技術と社会のインターフェイスを作っていくのか。
ディスカッションにも予定以上に多くの時間を割くことができ、個人的には満足いく機会となりました。聞き手の専門領域を事前に把握していれば、もう少し焦点を絞り込んだ話しができたかもしれません。
今日は、以下のようなプログラムのCISMOR研究会が開催されました。
COEプログラムも最終年に入り、そろそろ総括をしなければならない時期に入っています。そうした目的を兼ねて、テーマ設定がなされています。
私は発表者の一人でしたが、レジュメができたのは、何と今日の朝5時頃。せっぱ詰まった中の準備で、細かい点の整理はできませんでしたが、何とか務めを果たすことができ、少しほっとしています。
ディスカッションでは、多彩な意見が交わされ、楽しむことができました。
研究会テーマ:「共存を妨げるもの-キリスト教の場合」
発表:小原克博(同志社大学神学部教授)
「何が文明間・宗教間の共存を妨げてきたのか?
――『キリスト教世界』の創造と終末」
発表:森 孝一(同志社大学神学部教授)
「『千年王国』とアメリカの使命」
コメント:
マイケル・シーゲル(南山大学総合政策学部准教授)
会田弘嗣(共同通信社編集委員)
1000人近い登録者のいる「建学の精神とキリスト教」の試験を今日行いました。一つの教室に入りきらないので、二つの教室に分けて行いました。試験監督として、私の大学院ゼミ生を中心に9名の学生の方々に手伝っていただきました。
今回、はじめてマークシート試験を使いました。これだけの人数になると、論述などを入れると採点に途方もなく時間がかかりますので、思い切ってマークシートに踏み切りました。
そもそもは、暗記ものの授業内容ではないのですが、試験をする以上、記憶を試すような内容にせざるを得ないのが少々つらいところです。
しかし、内容は簡単にしたので、多くの方が高得点を出されるのではないかと思っています。
試験終了後、遠方から京田辺キャンパスまで手伝いに来てくれた大学院生たちをねぎらうために、近くのCoCosに行きました。みなさん、控えめな注文をされて、ほっと一安心。(^_^;)
今日は、浄土真宗本願寺派 安居特別講義で「日本近代史における戦争と平和――仏教とキリスト教の関係を中心にして」という話しをしてきました。
会場は、龍谷大学の講堂。これは重要文化財に指定されている建物で、外見も中身も立派。中に入ってまず感じるのは、天上が非常に高いことです。今の時代では、このような贅沢な作りはなかなかできません。
本願寺では毎年7月に全国の僧侶が参集して教学の研鑽を行っており、安居(あんご)と呼ばれています。安居には、およそ360年の歴史があります。
今年は「仏教と平和」という特別論題が設定されており、その一環として私が話しをしました。本願寺の「戦時教学」や戦争責任にも言及しましたので、聞かれた方々がどのように受けとめられたか少々気になりますが、受け止め方に幅があることは想像できます。
日本型政教分離がどのように戦争協力に結びついていったのか、が話しの中心でした。
本願寺のように伝統と力のある教団には、積極的に平和構築の働きを担って欲しいと思います。
参考まで、比較的最近の大谷門主の発言に関する記事を紹介しておきます。
■浄土真宗本願寺派・大谷門主 OBサミットで積極発言
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200705260171.html
今日は、久しぶりに太陽の光に恵まれた日であったように思います。台風はすんなりと去ったものの、強風の被害がいくぶんありました。
トマトは支柱にくくりつけていたのですが、ほとんどなぎ倒されてしまいました。きちんと修復するのに時間がかかりそうです。
右の写真は、レモンの赤ちゃん。まだ小指の爪先ほどの大きさですが、このような実が100個以上なっています。今年はレモン豊作かも。
授業が終わって一息つきたいところですが、7月後半は、異常なほど仕事がつまっており、ストレス過剰状態です。月末まで、講演会や研究発表が4つあります。また、書かなければならない原稿も二つ、たまっています。心はなおも梅雨のまっただ中、といった感じです。(T_T)
愚痴っても仕方ありません。一つひとつ仕上げていくしかありませんね。
祇園祭の宵山(7/14-16)に入ろうとしていますが、近畿は台風接近中で、すごい雨です。
右の写真は、今日のお昼頃に四条通で写したものです。山鉾の中でも一番有名なものの一つ、長刀鉾(なぎなたほこ)です。てっぺんに長い長刀がついているのが特徴で、全長20メートルほどあります。山鉾巡行(7/14)の先頭を受け持つ鉾としても知られています。
山鉾巡行の頃には、雨もおさまっていると思いますが、宵山を楽しもうと京都を訪れた観光客にとっては、今日・明日あたりは最悪の空模様になりそうです。
祇園祭について京都新聞作成の次のページが詳しくて便利です。
■祇園祭2007
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/koto/gion/gion.html
本日、ようやく春学期の授業が終わりました。
最後は京田辺キャンパスでの授業でした。新入生向けの必修クラスも無事終わり、また、午後には大人数の「建学の精神とキリスト教」の授業も終わりました。
試験前だからなのか、今日はやたら人数が多く、教室が満杯でした。900人程度いたかもしれません。結果的に、私語もすごかったです・・・(T_T) 注意する時間ももったいないので、最終回は、一気に最後まで話しきりました。私語に対抗すべく大声で話したせいか、のどが痛くなりました。
夕方から、新入生の方々と、打ち上げをかねた食事会に行きました。京田辺キャンパス付近はかなりの田舎なので、50名近い人数が入れる場所はかなり限られています。
今回、チキンハウスという鳥鍋の専門店に行きましたが、一人では絶対に行かないようなへんぴな場所にありました。鳥づくし・・・でした。
にもかかわらず、お昼ご飯に、うかつにもチキンを食べてしまいました。(^_^;)
キャンパスを歩いていると、キャンパスツアーをしている一団に出くわしました。よく見ると、そのガイド役をつとめていたのが、3年前に神学研究科から博士学位をとった崔 弘徳(チェ・ホンドク)さんでした。
偶然の出会いに、あちらもびっくり。
チェさんは、現在、ソウル長神大学校で教鞭を執っており、今回、その学生さんと父母をつれて来日したとのこと。
あれこれ、自分の仕事をこなしたあと、一行を神学館の礼拝堂に案内しました。右の写真は、そのときのものです。
中央にいるのが水谷先生、その右がチェさんです。
礼拝堂では、タイミング良く、パイプオルガンを練習中の学生もいて、その音色を聴くこともできました。
礼拝堂に入るなり、座ってお祈りする姿は、さすがに韓国人クリスチャン! 偶然とはいえ、よい出会いのときを与えられました。
th Visitor
since 01/07/2004.