小原On-Line

小原克博: 2007年3月アーカイブ

 小原克博 On-Lineに、先日の日本基督教学会近畿支部会での発表レジュメを掲載しました。当日配布のプログラムに記載されたA4で1枚のレジュメなので、スペース的に参考文献などを載せることができませんでした。
 現段階では萌芽的なアイディアを大雑把にまとめたに過ぎませんが、いずれ、この発表内容をもとにしてきちんとした論文を著したいと考えています。

「宗教多元主義モデルに対する批判的考察――「排他主義」「包括主義」の再考を通じて」

 3月29日、日本基督教学会 近畿支部会が神戸女学院で開催されました。プログラムについては下記ページをご覧ください。

http://www.d-theo.jp/kinki/

 発表者の多数が同志社関係者でした。私が指導している大学院生も4名発表しましたので、朝一番から出かけていきました。
 私もついでに発表しました。後日、レジュメをアップしたいと思います。原稿なしで発表したので、結果的に、かなりの早口になってしまいました。(^_^;)

 大学院生の方々には、引き続き、どんどん積極的に研究発表していただきたいと願っています。
 私が指導している学生には、半強制的に義務づけていますので、毎回大変だと思いますが、その大変さの中からリズムを作り出し、研究することの苦労と喜びを見出して欲しいと願っています。
 私もただ命令するだけでは示しが付きませんので、今回、がんばって発表した次第です。連帯責任ですね。

 学会終了後、会議が続き、その後、ちょっと一杯ひっかけて、帰宅したのは深夜12時を回っていました。つかれた~

 涙ぐましい苦労の末(←これほんと(T_T))、何とか今年度中にリニューアルを果たすことができました。下記アドレスをご覧ください。

http://www.d-theo.jp/

 今回の変更点は多岐にわたりますが、主なポイントを上げると以下のようになります。

1)レンタル・サーバー上で独自ドメインを取得しました。これにより、サーバーメンテの手間・費用がなくなり、またセキュリティ対策(ウィルスなど)も容易になりました。
 かつて、Nimdaというウィルスにサーバーが感染し、徹夜で復旧作業をしたことを考えると(恥ずかしながら、この様子はテレビで放送されました)、外部サーバーは非常に気が楽です。

2)デザインをシンプルかつシックな雰囲気に変えました。これまで、派手な路線を突っ走ってきましたので、そのバックラッシュかもしれませんが、実際、フラッシュ多用型からシンプルなデザインへの移行は、現在のトレンドでもあります。

3)必要とされる基本的情報をわかりやすく提示することを心がけました。それぞれの情報へのアクセスがわかりやすいナビゲーション構成にしています。

4)日本語と英語のページはシンメトリカルではありません。機能面だけでなく、国内からと海外からの関心の違いを反映させ、まったく異なるメニュー構成とデザインにしています。

 不十分な点も認識していますが、それは新年度の課題とします。
 ご活用ください。

070321_1 昨日は卒業式がありました。すごく冷え込んで、3月下旬とは思えないほどでした。
 数日前、私の近所では雪がちらつき、山の上には再度雪が積もっていました。1月、2月の方が暖かかったように思います。右の写真だけ見ると、やけに田舎に見えますね。

070321_2  左の写真は、散歩コースの琵琶湖畔で撮影したゆりかもめ。パンくずで近くにおびき寄せてシャッターチャンスをねらうのですが、飛行速度が速いので、けっこう苦労しました。

 まだ寒々としていますが、空き地ではつくしがいっぱい芽を出しています。春の足音が近づいています。

 先日、徳島の大塚国際美術館を訪ねる機会がありました。西洋の名画1000点あまりを陶板で再現したユニークな博物館として、有名です。
 「いくら精巧でも陶板では本物の迫力にはかなうはずもない」と行く前は、なめてかかっていたのですが、実際に見てみるとびっくり! 本当によくできています。おそらく3メートルも離れれば、本物と陶板の違いはわからないのではないでしょうか。

 圧倒されるのは、システィーナ礼拝堂などの実物大を再現しているだけでなく、選りすぐりの名画を目の前で見れる(手で触れる)ことです。
 先日、Yokoさんがコメントで紹介してくださったダヴィンチの「受胎告知」(ウフィツィ美術館)などは当然あるのですが、何と受胎告知が14作品もそろっていて、すぐ近くで見比べることができます。
 若桑みどりの世界だな~と感心していると、あとで絵画選定委員の一人に若桑みどりがいることを発見しました。ルネッサンスの絵画の鑑賞については、彼女の著作から学んだ部分が非常に大きく、彼女のシャープな解釈や鑑賞眼は万人におすすめしたいところです。絵の見方が変わります。
 その代表的なものが「受胎告知」。様々なバリエーションがありますが、微細な違いの中に描いた人の隠された主張(意図)を解読していく作業はスリリングですらあります。

 この美術館、とにかく名画がどっさり。本物かどうかにこだわらなければ、美術教育には最適の場所であると言えます。ちなみに、カトリック系の学校からの来場者が結構多いのだそうです。中世からルネッサンスにかけては、ほとんど宗教画ですから、宗教教育としても使える、ということなのでしょう。

 場所的に、誰もが簡単にアクセスできるというわけにはいきませんが、「陶板なんて」とバカにしている人は「百聞は一見にしかず」ですよ。

070317_1  今日は、午前中と午後、結婚式に出席してきました。いずれも、私の大学院ゼミの学生でした。偶然日が重なり、しかし、うまい具合に時間帯がずれたので、両方に出席することができました。

070317_2 午前中は、京都御所の東側にある新島会館での結婚式。右の写真が、新郎新婦ですが、お二人とも私のゼミの卒業生(修了生)なので、感慨ひとしおです。
 特に新婦に関しては、彼女が学部1年生の時から知っていますので、長いつきあいになります。振り返ってみると、あっという間で、時の流れの速さに驚かされます。

 ちなみに、新婦はこのブログでも「うめさん」として、時折登場してきた方です。たとえば、04/03/10記事や、04/07/28記事に登場しています。

 午後からの結婚式は、大津教会で行われました。
070317_3  右の写真は二階席から撮影したものですが、1階席も2階席も大入り満員でした。新郎が今年度、修士論文を提出したゼミ生です。

 二組のカップルがともに新しい人生の門出を出発されることを、心から祝福したいと思います。

070310 3月10日、京大イスラーム地域研究センター主催の国際ワークショップに参加しました。
 基調講演者が Tamimi氏であったのが理由としては大きかったのですが、3ヶ月前にできたばかりという京大イスラーム地域研究センターの最初の国際ワークショップとあって、その様子をうかがいに行った次第です。
 国際ワークショップのプログラム等については、下に記しておきます。

 Tamimi氏は主として、ハマスについての話をされました。ハマスの影響力・存在感は地域を越えて、広くムスリムに及んでいることが、よくわかりました。
 政治的な闘争運動を、かつては政治的左翼集団(PLOなどもその一つ)が担っていたのですが、近年はファタハのような世俗的集団であってもイスラーム化が進んでいるとの説明が印象的でした。
 世俗化に抗するかのように、宗教的な要素が中東において大きな役割を占めてきているということです。当たり前のようですが、長いスパンで見ると、大きく変化してきていることがわかります。
 パレスチナ問題を分析しようと思えば、その宗教的次元を抜きには考えられないということです。

<国際ワークショップ>「パレスチナ問題とイスラーム世界の連帯」

「イスラーム世界における国際組織の基礎的研究」のための国際研究会として、中東地域のみならず国際関係において大きな焦点となり続けてきたパレスチナ問題について、総合的なワークショップを開催いたします。本ワークショップでは、パレスチナ現地におけるハマースの形成と発展、ムスリム同胞団を中心とするイスラーム国際連帯の流れなどを実証的に検討するとともに、イスラーム地域研究における研究視座についても提起、討論を行ないます。

日時:3月10日(土) 14:00~18:00
場所:京都大学中央総合研究棟 工学部4号館4階AA401(第1講義室)
第一部 基調講演: Dr. Azzam Tamimi(イスラーム政治思想研究所・所長)
    タイトル:「パレスチナ問題・イスラーム連帯・ムスリム同胞団」
第二部  パネルディスカッション
報告1:小杉 泰
タイトル:「イスラーム連帯の焦点としてのパレスチナ問題:その眺望と
           研究課題」
報告2:臼杵 陽(日本女子大学・教授)
タイトル「日本におけるパレスチナ研究:イスラーム地域研究の観点から」
報告3:飛奈裕美(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
タイトル「東エルサレムにおける非暴力的抵抗」
コメンテーター: Dr. Azzam Tamimi
総合司会:末近 浩太(立命館大学国際関係学部・助教授)

070308 3月7日(水)、新たに立ち上げたCISMORの研究会が開催されました。
 その名も、「日本宗教から一神教への提言」研究会!
 私が責任者となって企画・組織してきましたが、その趣旨を末尾につけておきます。

 第1回研究会では安藤礼ニ先生(多摩美術大学)に「大川周明と折口信夫-明治期の宗教思想家たちと「一神教」」と題して発表してもらいました。
 その後のディスカッションは盛り上がり、参加者の関心の高さがうかがえました。写真はその一こまですが、司会をしている私の右に座っているのが安藤先生(後ろ姿!)です。

 写真の中央奥にビデオ撮影している人の姿が映っていますが、スカイパーフェクトTVの収録の一環です。いずれこのブログで報告したいと思いますが、ベネッセが企画しているスカイパーフェクトTV用の教育番組「研究室へ行こう!」(30分番組)の対象に私がなっており、この日も朝から収録をしていました。さてさて、どうなるのでしょう。

■部門研究3「日本宗教から一神教への提言」
http://www.cismor.jp/jp/research/groups/index.html
 これまで様々な形で宗教間対話のモデルが提唱され、また、実際に異なる宗教間での対話が行われてきた。しかし今日の紛争やテロを見ると、宗教が直接の原因となっ ているわけではないが、事態の展開に一神教が関与していることは否定できない。現代社会が抱えているこの困難な問題に対して、一神教以外の宗教、特に日本宗教はどのような提言をすることができるだろうか。
 本来、三つの一神教の間において、あるいは、一神教それぞれの内部における急進派と穏健派との間で対話がなされ、問題解決がなされるべきであるが、そこにはある種の行き詰まりが見られる。したがって、すべての宗教が横並びになってなされる、具体的焦点を欠いた宗教間対話ではなく、一神教に対し、それ以外の宗教が積極的に問題解決の糸口を示す宗教間対話こそが今必要とされている。
 日本において、いわゆる「一神教批判」は枚挙にいとまがないほどである。しかし、「提言」としての批判は、単なる批判ではなく、批判し提言する相手(一神教とその世界)との「対話の接点」が必要である。
 多神教的要素を多分に含み持つ日本宗教から、一神教がどのように理解されているのか、何を、どのような方法によって提言できるのかを、本研究会では考察してい く。
 また、近代において日本の文化・宗教・歴史に対し一神教がどのような影響を与え、内在化されていったかについての歴史的考察も行う。そうすることによって、一神教が単に日本の外部にある他者として存在してきたのではなく、受容と拒絶というプロセスを通じて内在化されてきた側面を持つことを明らかにしていく。それはまた日本宗教の自己規定に密接に関わる課題となるはずである。

 

京都・宗教系大学院連合の公開シンポジウムが以下のように予定されています。
 ウリの一つは、下の案内文書で赤字で記したように、K-GURS機関誌『京都・宗教論叢』を先着300名に無料配布するということです。
 いかにも私が言い出しそうな案ですが、ぜひエサにつられてお越しください。(^_^;)

 冗談はさておき、内容的も十分に満足していただけると思います。昨今、自然葬などのように葬儀の形態は多様化していますが、あらためて葬送儀礼の現状や課題を考えてみよう、というのが今回のポイントです。

 山折先生は一見「客寄せパンダ」のように見えるかもしれませんが、いえいえ、葬儀や死の問題については第一人者と言ってよいでしょう。
 多くの方のご来場をお待ちしています。
 当日私は裏方に徹していますが、裏方兼カメラマンとして会場をうろうろしていると思います。

http://kgurs.exblog.jp/5242179/

「京都・宗教系大学院連合」公開シンポジウム

死者を送る

 「京都・宗教系大学院連合」は、大谷大学大学院 文学研究科、高野山大学大学院 文学研究科、種智院大学 仏教学部、同志社大学大学院 神学研究科、花園大学大学院 文学研究科、佛教大学大学院 文学研究科、龍谷大学大学院 文学研究科の7つの大学院・大学および9つの協力団体(研究所・学会)がそのメンバーとなっています。
2006年度より、加盟大学院間の単位互換制度の実施をはじめ、教育や研究の具体的な取り組みを始めています。また、京都に息づく日本の伝統文化・宗教を積極的に国際社会にアピールするために、幅広い研究ネットワークの構築を目指しています。
 本連合の目的や活動を広く知っていただくために、今回、山折哲雄氏を基調講演の講師としてお招きし、「死者を送る」というテーマのもと公開シンポジウム を下記のように企画いたしました。多くの方のご来場をお待ちしています。なお、来場された先着300名様には本連合の機関誌『京都・宗教論叢』創刊号(設 立記念シンポジウムの報告を含む)を贈呈いたします。

講師略歴 山折哲雄
1931年生まれ。岩手県出身。東北大学文学部卒業。東北大学文学部助教授、国立歴史民俗博物館教授、国際日本文化研究センター教授・所長を経て同名誉教授。専門は宗教史、思想史。著書に『ブッダの教え』『死の民俗学』『仏教とは何か』『日本人の霊魂観』など多数。

■日 時:2007年3月24日(土)午後1時~3時30分
■場 所:大谷大学 講堂
■プログラム
・あいさつ:武田龍精(龍谷大学大学院)
・基調講演:山折哲雄
  「死者を送る」
・パネル・ディスカッション
 司会:門脇 健(大谷大学大学院)
 パネリスト
  禅宗の立場から:中尾良信(花園大学)
  イスラームの立場から:中田 考(同志社大学)

※入場無料、事前申込不要

◎ 問い合わせ
京都・宗教系大学院連合 事務局(同志社大学 神学部・神学研究科)
事務局長:小原克博 (同志社大学 神学部・神学研究科 教授)
Tel. 075-251-3343(小原研究室 直通)、E-mail: staff@kgurs.jp、HP: http://www.kgurs.jp

070303_2  3月2日、日本学術会議地域研究委員会等が主催するシンポジウム「地域研究の最前線-知の創成-」に参加しました。場所は、東京・乃木坂の日本学術会議講堂。けっこう立派なホールでした。
 プログラムの詳細は下記ページをご覧ください。
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf/32-s-1-2.pdf

 簡単に言ってしまえば、地域研究に関わっているCOE拠点の発表会のようなものです。
070303_3  7つの拠点からの報告があり、CISMORもその一つとして、森先生が発表を行いました。
 COEとはいえ、大学間格差があることを如実に感じさせられました。京大はさすがによくやっています。質量とも一歩先を行っているという感じで、何かと参考になりました。
 COEの拠点同士が交流する機会は意外と少ないので、その意味では、今回の企画は意味があったと思います。

このシンポジウムの合間の休憩時間に会場の外では、各070303_1 拠点のポスターセッションが行われ、私はそれを担当しました。 ポスターセッションというとかっこよく聞こえますが、早い話、出店のようなものです。

 我々は段ボール箱一個分の資料を並べただけでしたが、他の大学は本格的なポスターを貼って、気合い十分でした。すごい・・・

 CISMORのコーナーでは、既刊の関係資料をずらりと並べ、欲しい人には要望を聞いて、後日、送り届けるシステムをとりました。予想していた以上に多くの人が関心を示してくださり、ほっとした次第です。

 自宅に到着したのは、深夜12時頃。いつもながら、東京日帰りは疲れます・・・

070301_1  今日韓国は「3・1独立記念運動」を記念しています。
 右の写真は、先週ソウルを訪れた際、タプコル公園で撮影した独立宣言の記念碑です。1919年3月1日に、この場所が発祥の地となって、朝鮮半島全域に抗日運動が広がっていきました。
 それに対する日本総督府からの弾圧は熾烈を極め、その中でも有名なものの一つが「堤岩里事件」です。ソウル南方で日本兵が約30人を教会に閉じこめ虐殺、放火したと言われている事件です。

070301_2_1  そして、つい数日前、この時代に朝鮮軍司令官であった宇都宮太郎の日記など、第一級の歴史資料が発見されたとの記事を目にしました。
 彼の日記にも「堤岩里事件」のことが記されており、国際世論を意識して、隠蔽工作を行ったことが記録されているとのことです。
 このあたりの詳細については、関連する下記新聞記事などをお読みください。

http://www.asahi.com/national/update/0228/TKY200702270448.html

070301_3  タプコル公園は、かつてパゴダ公園とも呼ばれていました。ここは、もともと、李氏朝鮮王室の護寺・円覚寺があったところで、今でも、国宝の十三層塔が立っています。これはかなり厳重に強化ガラスで覆われています(右の写真)。

 3・1独立宣言には、キリスト教・天道教・仏教の指導者ら33名が署名しています。
 当時朝鮮半島にいた宗教指導者たちは、日本の宗教政策が寛容であるとは思わなかったでしょうし、たとえば、日本の仏教者を仲間であるとは認めがたかったのではないかと思います。
 朝鮮半島から、る日本の宗教がどのように見られていたのかを批判的に検証することなしに、近代日本宗教史を語ることはできないでしょう。私にとっての課題です。

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自己紹介

近  著

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