小原On-Line

小原克博: 2004年7月アーカイブ

040728

 今日は、わたしのティーチング・アシスタント(TA)の「うめさん」(写真右)と、「うめちゃん」(写真左)に、今学期の出欠処理のお手伝いをしていただきました。
 これまで1学期分をためこんでいたので、時間がかかると思いきや、二人でやってもらうと2時間半くらいで終わりました。あとは、わたしがレポートを読んで、成績処理をするわけですが、けっこうな数のレポートがあるので一苦労です。

 TAの作業を終えてから、お疲れ様でした、ということで、寒梅館の7階レストランに向かいました。ところが、喫茶は4時までということで、すごすごと1階レストランに移動。そこでケーキと飲み物を注文しました。
 ケーキはおいしそうなのですが、いかにもカロリーが高そうで「太るで~」と言うと、「甘いものは入るところが違う」ので、大丈夫だそうです。(^_^;)

 TAのお二人とも、大学院の1回生なのですが、卒業したときの同級生の近況などが話題になりました。いったん卒業すると、なかなか一人一人の様子はわからないものです。うめさん、うめちゃんから、同級生たちの様子を聞くに及んで、安心したり、心配したり・・・
 Wさんは、居眠りしがちで、上司に起こされたり・・・ということを聞くと、「あ~変わってないな~」と妙に安心します。大手コンビニに勤めたYさんは毎日忙しくて、泣きたいほどだけど、家に帰ると泣く暇もなく、疲れて寝てしまう・・・と聞くと、とてつもなく心配してしまいます。
 各人各様ですが、巣立っていった卒業生たちが、がんばっている様子を聞くと、心から応援したい気持ちがわくと同時に、かつては毎週顔を合わせていたのに、今はもうそれができないことを寂しく思ったりします。
 
 こんなとき、いつも壺井 栄の不朽の名作『二十四の瞳』を思い出します。この作品は、戦争の悲劇を織り込んだ悲哀に満ちており、その意味で、今と時代状況はまったく違いますが、時代を超えて胸を打つものがあります。
 それぞれの人生に波風あるに違いありません。それをうまく乗り越えて、互いの人生を語ることのできる再会の日があることを願ってやみません。

 今日は、ちょっと感傷モードでした。

■名作を読もう『二十四の瞳』
http://www.nhk.or.jp/kirari10/meisaku/04-0710.html

 日曜日の京都新聞に、わたしのインタビュー記事が掲載されました。佐世保小6事件に関するものです。
 実際のインタビューでは、いろいろなテーマについて話したのですが、紙面の都合上、バーチャル世界や携帯電話のことにしぼられています。

 7月24日『朝日新聞』(大阪版)夕刊に京大の山極先生の記事が掲載されていました。山極先生の専門は、ゴリラやチンパンジーなど類人猿の研究なのですが、いろいろご縁があって、先日もある会合でお会いしたばかりです。
 その記事の中で、山極先生は、集団の拡大やコミュニケーションの変化によって、個人の共感能力が低下してくる、ことを指摘しておられます。互いに顔やくせを知っているのは、類人猿の場合50頭程度なのですが、人間は言語の獲得によってそれが150人ほどに増えた、と言います。そして、携帯電話などのメディアによって、いっそう多くの情報を得ることができるようになっているわけですが、それが、かえって、人間の共感能力を低下させているのではないかと、鋭い洞察を投げかけています。
 「相手や場の気配を探るといった能力は、本来身近な集団の中で培われますが、機械に頼ってこの能力が衰えているのです」。

 たまたま、わたしの記事中での関心と重なる点があったので、興味深く感じた次第です。

■「自らの孤独と向き合う姿勢を」(12歳のいのち いま、つたえたい 6)、『京都新聞』2004年7月25日朝刊
http://theology.doshisha.ac.jp:8008/kkohara/essay.nsf/
504ca249c786e20f85256284006da7ab/f8a89455c6a08b3049256edc004ab953?OpenDocument

■五感を通じた社会性
http://kohara.cocolog-nifty.com/blog/2004/01/post_8.html

040724

 土曜日、渋谷の同志社大学 東京アカデミーを会場にして、COE研究会が開催されました。わたしは司会を務めました。

1:00-2:00 発表:手島勲矢(大阪産業大学人間環境学部助教授)
  「ユダヤ学のA・トインビー批判:文明の包摂と排除について」
2:00-3:00 発表:勝又悦子(ヘブライ大学ヘブライ文学部博士課程)
  「ラビ・ユダヤ教における異教徒との対話」
3:00-3:15 休憩
3:15-3:25 コメント:中村信博(同志社女子大学学芸学部教授)
3:25-3:35 コメント:市川 裕(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
3:35-5:30 ディスカッション

 今回はユダヤ教にフォーカスしたのですが、予想通り、パレスチナ・イスラエル問題に話が及び、ユダヤ教と「土地」の問題、エレツ・イスラエルとディアスポラをめぐるユダヤ人のアイデンティティのゆらぎ、マイノリティをめぐる歴史的課題など、かなり濃いテーマとなりました。
 イスラームの専門家もたくさんいますので、その視点からの指摘もばんばん出ますし、また、ユダヤ人であるアダ・コヘン先生(同志社神学部)のストレートな発言などが議論に深さと幅を与えてくれ、かなり刺激に満ちたディスカッションとなりました。
 手島先生、勝又先生の発表がよかったことは言うまでもありませんが。

 内容についても詳細にお伝えしたいのですが、いずれ研究会の記録をCISMORサイトに掲載しますので、しばらくお待ちください。
 実は、わたしの多忙のせいもあって、これまでの研究会の記録も、CISMORサイトにまだ掲載されていません。夏休みの間にばん回して、全記録を一挙公開する予定です。

 いや~、それにしても東京は暑かった。
 帰りは、新幹線に乗り遅れそうになって、品川駅で猛ダッシュしました。おかげで、座席についてから、足がつってしまいました(ナサナイ)。激痛でいっそう汗が出ました。(^_^;)

040720

 7月20日、浄土真宗本願寺派の安居(あんご)特別講義で脳死・臓器移植について話してきました。本願寺では、毎年7月に全国の僧侶が参集して教学の研鑽を行っており、安居と呼ばれています。安居には、およそ360年の歴史があります。
 それと同じくらい歴史のあるのが、安居特別講義の会場となった龍谷大学大宮学舎本館講堂。上の写真がそうです。外見も立派ですが、内部の木造建築は本当にすばらしいです。重要文化財になっているだけあって、風情は格別です。

 安居では伝統的に、浄土真宗の教学を学ぶ場であったわけですが、昨年から異変(?)が起こって、現代の問題も特別講義として取り扱うようになりました。仕掛け人は、わたしの友人の徳永道雄氏です。安居に脳死・臓器移植??ということで、内部では一騒動あったようで、よ~やるな~、という感じです。

 講義をした講堂には、袈裟を着た僧侶の方々が100名ほどおられました。わたしのような若造の話を聞いて、おもしろいんだろうか~、と疑念を抱きつつ話を進めていたのですが、質疑応答の時間には、あちこちで手が上がり、また質問の内容も的を射たものであったので感心しました。時間の都合上、挙手された全員にお答えできなかったのが心残りでしたが、わたしにとっても、よい機会となりました。

 小原克博On-Lineに早速、当日配布のレジュメを掲載しておきましたので、関心のある方はご覧ください。

■「脳死・臓器移植に対するキリスト教の対応」、浄土真宗本願寺派 安居特別講義
http://theology.doshisha.ac.jp:8008/kkohara/works.nsf/
626e6035eadbb4cd85256499006b15a6/b32c76d53bf8d08249256ed800524948?OpenDocument

040717a

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 予想通り、講演会の前日~当日、徹夜となりました。(T_T) 当日配布のプログラムおよびレジュメができたのは、当日の朝9時半という有様で、ヒヤヒヤものでしたが、何とかぎりぎり間に合いました。
 すでに、当日配布のレジュメを下記ページに掲載していますので、関心のある方はご覧ください。
 予想に反して、たくさんの人が来てくれました。150名ほどの来場者がありました。ほとんど宣伝しないで、しかも、この種のテーマで150名の人が来れば、大盛況と言えるでしょう。祇園祭でにぎわう中、わざわざ来ていただいた方、ありがとうございました。
 質疑応答の時間においても、積極的に手が上がり、あっという間に時間が経ちました。
 上の写真は、Yさんに撮っていただいたものです。あまりきれいに撮れていませんが、Yさんの腕が悪いのではなく、カメラの性能のせいです(ということにしておきましょう)。
 今回、Yさんがビデオを撮ってくださっていましたので、久しぶりに、パワーポイントと組み合わせたストリーミング映像を作りたいと思っています。今まで、Real Videoを使ってきたのですが、今度は、Windows Mediaでチャレンジしてみようと思います。しばらく、お待ちください。

 一息ついたと思ったら、もう次の講演の準備をしなければなりません。(T_T)
 火曜日にある安居特別講義です。今度は脳死・臓器移植がテーマです。360年もの歴史がある由緒ある行事に講師としてかかわれるのは光栄なことなのでしょうけれど、気が重い~。気分を入れ替えて、がんばるしかありません。ファイト~一発!って感じですね。(^_^;)
 そうそう、栄養補給と眠気覚ましを兼ねて、徹夜作業中にリポビタンDを2本飲んだら、お腹が痛くなりました。「1日1本」という注意書きは大事ですね。

■21世紀COEプログラム 公開講演会「欧州新時代におけるイスラームとの対話――ドイツから何を学ぶか」
http://theology.doshisha.ac.jp:8008/kkohara/works.nsf/626e6035eadbb4cd85256499006b15a6/
7c46fa686b537ca749256ec300513ce8?OpenDocument

 今週で春学期の授業が終了するのですが、わくわく感をまったく感じることができないほど、あれこれと仕事が詰まっています。(T_T)
 土曜日の講演会の準備に取りかかれないのが、恐ろしい~。前日(~当日)は徹夜になりそうです。いつものことですが。(^_^;)

 今日はお昼、ドイツ総領事館のライハルト・ルートヴィヒ副総領事と、講演会の打ち合わせを兼ねて食事をしました。天満橋の日本料理店で天ぷらを食べたのですが、久しぶりの天ぷらだったので、おいしかったです。4月のドイツ旅行のことでも話がはずみました。土曜日には、精一杯、ドイツのことをアピールしてくださいと念を押しておきました。当日は、ドイツ関係のニュースレターなども配布される予定です。

040714

 その後、京都に戻り、夕方からアメリカ人学生のJaclyn Perlmutterさんと会いました。彼女は奨学金をもらって、この夏、東福寺で禅の修行をしています。朝の3時に起きて、座禅しているのだそうです。わたしがまだ起きている時間ですね。(^_^;)
 アメリカの大学の先生の紹介で、彼女はわたしを訪ねてきたのですが、わたしは禅仏教についてはあまり詳しくありませんので、友人のAnna Ruggeriさんに応援に来てもらいました。彼女はイタリア人ですが、イタリアにいる頃から、禅に親しみ、日本での滞在経験も長いので、外国人に対し禅を語ってもらうには最適の人です。
 上の写真の左がRuggeriさんで、右がPerlmutterさんです。
 Perlmutterさんは、いくつか質問をしたいということで、わたしは気軽にRuggeriさんにも声をかけたのですが、Perlmutterさんは三脚を立てて、デジタルビデオをセットし、テープレコーダをテーブルの上に置き、その本格的な姿勢に驚かされました。
 喫茶店で、1時間半ほど、みっちりインタビューを受けました。Perlmutterさんは、まだ学部の学生なのですが、インタビューの真剣さや、真摯な質問内容には、今時の日本人学生には見られないものを感じました。さすがに奨学金をもらって来ているだけはあるのですが、アメリカ人が禅の修行をしているということ自体が、わたしには驚きで、インタビューを終えて、京都の地下街ポルタで一緒に食事をしている際には、こちらからも、あれこれと質問をしました。
 Ruggeriさんは、禅仏教の裏の世界や生々しい現実をよく知っているので、それもまた興味深く、刺激の多い会話となりました。
 以前、このBLOGでも東福寺のことを紹介しましたが(→1/28)、東福寺の管長はアメリカで毎年のように講演旅行をしており、それがきっかけでPerlmutterさんも東福寺で修行することになったようです。

■東福寺の管長と面会(1/28)
http://kohara.cocolog-nifty.com/blog/2004/01/post_11.html

 なかなか暇がなくて、神学部・神学研究科ウェブサイトの肝心な部分が放りっぱなしになっていたのですが、ようやく、教員紹介などを最新のものにすることができました。
 トップページは大幅に変更するつもりでいますが、もうちょっと時間がかかります。

■神学部・神学研究科の専任教員(更新)
http://theology.doshisha.ac.jp/theology/kyoin2_fr.html

■神学部・神学研究科とは(更新)
http://theology.doshisha.ac.jp/theology/index.html

■一神教学際研究コース(新規追加)
http://theology.doshisha.ac.jp/theology/gakusai_fr.html

■大学院・神学研究科の教員紹介(新規追加)
http://theology.doshisha.ac.jp/theology/kyoin_fr.html


 更新のリンク張りをしている中で、久しぶりに中田先生のページを見ました。更新頻度は低いのですが、新しいページが追加されていて、それが、かなりおもしろかったので紹介します。

■公開講義でのQ&A
http://homepage3.nifty.com/hasankonakata/sakusaku/5_1.htm

 この「公開講義」とは、わたしも関係している(というより、わたしが始めた)大学コンソーシアム京都へ提供しているコーディネート科目「宗教と倫理」の中で、中田先生が担当された授業のことですが、そこで学生から出された質問に対し中田先生が答えています。
 感心させられるほど、丁寧に答えられていますが、中には(失礼ながら)爆笑するようなQ&Aもありました。まずは、ご覧ください。下記に、ごく一部をサンプルとして紹介します。

問い「むち打ちは20回も打つとあまりの痛みで死んでしまうと聞いていましたが、単なる噂でしょうか」
答え「鞭の種類によりますが、20回ならともかく100回打つとまず死ぬそうです」

問い「石打などは本当に死んでしまいそうですが」
答え「石打は死刑で死ぬまで投げ続けますので必ず死にます」

問い「未婚の男女が性行為をすると火刑に処せられるのはイスラム教ですか」
答え「いいえ。イスラームでは鞭打ちの上で、所払いです」

問い「少し聞き取りにくかった」
答え「聞き取りにくかったのは申し訳ないと思います。もともと舌足らずな上に、
年々呂律が回らなくなってきており、授業が出来なくなる日もそう遠くないように思
います。良かったですね。私がまだ話せるうちに話を聞けて」

問い「ゆっくりしゃべるイスラム人はいますか」
答え「あまりいません」

 Yokoさんのコメントでも紹介されていましたが、朝日新聞7月3日の社説「紀伊山地――多神教を歩こう」に目がとまりました。一神教学際研究センター主催の講演会の広告と奇しくも同じ新聞に掲載されていたので、これは、わざとか?!と思うほどでした(もちろん、偶然の一致です)。
 この社説の内容は、紀伊山地が世界遺産に登録されたことを解説したものですが、そこには次のような一節があります。

===================================
 日本固有の信仰である神道と大陸伝来の仏教、それらが融合した神仏習合、さらに外来の道教をとりいれた修験道が共存するという多神教の世界である。
 世界を見渡せば、イスラム教とキリスト教の対立など、一神教同士のいがみあいが絶えない。
 異なる宗教や価値が平和に共存するにはどうしたらいいか。紀伊山地の紹介は、21世紀の世界に日本から発信する貴重なメッセージでもある。
===================================

 紀伊山地の宗教的特徴や多神教を紹介するのは結構なことですが、なぜ、こういつも、一神教の酷評と抱き合わせでなければ説明できないのでしょうか。
 世界に発信するような貴重なメッセージであれば、もっと自立的な多神教の自己紹介をしてもらいたいものです。そうでなければ、その概念のあいまいさゆえに、たとえば、戦時中の日本の知識人が好んで用いた「アジア主義」といった考え方と、どう構造的に違うのか、という問いに答えることはできないでしょう。
 また、「イスラム教とキリスト教の対立」「一神教同士のいがみあい」は、今日の世界の現実を描写するには、あまりにも事柄を単純化しすぎてはいないでしょうか。本来複合的であるはずの問題を、腑に落ちやすい単純な問題設定へとすり替えてしまうのは、大いに問題です。
 一神教的な世界理解に対し、多神教的な世界理解を発信すれば、争いが解決する、というのなら、ぜひがんばってやってもらいたいと思います。一神教世界の人たちが耳を傾けるようなメッセージを構築する基礎的な作業すら、残念ながら、まだ目にしたことはありません。
 このあたりのことは、また別の機会にきちんとまとめたいと思います。

■朝日新聞7月3日社説「紀伊山地――多神教を歩こう」
http://www.asahi.com/paper/editorial20040703.html

asahi040703

 『朝日新聞』7月3日朝刊(全国版)に掲載された21世紀COEプログラム公開講演会の広告です。今回の講演会は、あまりきちんとした宣伝活動をしていないので、同志社の広報課がこういう形で広告を出してくれると助かります。
 ポスターも作らず、案内の郵送もごく限られた範囲にとどめていますので、ほとんどお金のかからない講演会となりそうです。ちなみに、講師謝礼もなし! 気合いが入ります。(^_^;)

040701

 神学研究科博士課程の学生さん N田 K子さんによる手作りの?の写真です。これ何て言うんでしたっけ。無病息災を祈願して食べるらしいです。
 とにかく、おいしかったので、二つめを食べる前に写真に納めました。みなさんに味わっていただけないのは残念ですが、写真を見て想像してください(笑)。
 N田さん、ありがとう!

 公開講演会「欧州新時代におけるイスラームとの対話―ドイツから何を学ぶか―」(7月17日)の案内ちらしができあがりましたので、お知らせします。
 6月23日に紹介したものと比べると主催など若干の変更がありますので、こちらを最新版としてお使いください。自由に印刷・配布していただいて結構です。
 多数のご来場をお待ちしています。(←って言うからには、ちゃんと準備しないとね (^_^;) )

■21世紀COEプログラム 公開講演会 案内ちらし
http://www.cismor.jp/jp/doc/lecture040717.pdf

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近  著

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