アッシリア教会
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ザルヴァーニ先生が来られる前に、飛び込みで訪ねてみたのがホテルの近所にあるアッシリア教会。ここがイランのアッシリア教会の総本山なのですが、ホテルから徒歩1分ほどの至近距離にあるため、アポイントメントなしに飛び込みました。
アッシリア教会はネストリウス派(キリストの人性を強調し、431年のエフォソ公会議で異端申告を受ける)の伝統を引きます。教科書的な知識で、その存在を知っていても、実際の教会を訪ねるのは初めてでした。
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アッシリア教会の歴史と現状は、私の心に重く響きました。今後も、繰り返し、思い起こすことになりそうです。
アッシリア教会は一時期、メソポタミア地方で非常に栄えたことがあるのですが、この地方のイスラーム化以前も、以降も迫害を受け続けてきました。今も、メンバーがどんどん国外に流出(脱出)せざるを得ない難しい状況が続いています。
クリスチャンはイランでは少数派ですが、その中でもアッシリア教会は少数派に属します(多数派はアルメニア教会)。現在、アッシリア教会の信徒は1万人ほどで、アルメニア教会が7万人ほどで、カトリックやプロテスタントなど一切合切をあわせるとクリスチャン人口は20万人ほどになるだろうとのことでした。ちなみに、イランの総人口は7000万人ほどになり、そのほとんどがシーア派のムスリムです。
特にイラク戦争以降、アッシリア教会の情勢は厳しくなり、イラクでは何百人もの仲間が殺され、また、何千人もの仲間が国を離れて、シリア、レバノン、トルコなどに逃れたと語られました。イランでもかなり信徒数は減少しているようです。
「しかし、私は落胆していない。数が問題ではない。信仰の純粋さを信仰の純粋さを保つことが大事なんだ」と力強く語る様を見て、本当に重い課題を負い続けてきた教会があることを、ずしりと感じさせられました。
司教もシスターもイラク出身とのことでした。バグダッドがアッシリア教会の中心地であり続けてきました。ちなみに、上の教会の写真で塔が二つあるのはバビロニア的な建築様式の特徴を引き継いでいるからだそうです。
イラクにおけるクリスチャンの状況はかつてないほどひどいらしく、多くの仲間が命を失ったことに関しては、かつてホメイニー師が「アメリカは大悪魔」と行った言葉が、イラク戦争後のイラク情勢についても言えるはずだ、と物憂げに語っていました。この言葉の意味は重いと思います。
他にもイランにおける宗教教育のことなどについても言葉を交わしましたが、Garmou司教との対話の中で、本当に多くのことを学びました。日曜日の礼拝に参加する、との約束をして教会を後にしました。