タミーミー氏講演会
タミーミー氏の講演会「中東紛争の根源」に参加しました。イスラエル・パレスチナ問題は政治的問題であることを明快に述べられました(宗教が問題の発端ではないということです)。
終始一貫して主張されていたのは、イスラエルを国家として認めることは、1948年にパレスチナ人が自分たちの土地を追い出されたことを承服することと同義であり、決して認めることはできないということでした。
近々、パレスチナ自治政府のアッバス議長がイスラエルを承認するかどうかの住民投票をすることについても言及され、結論的には、これは時間の無駄遣いだということでした。基本的にはハマス寄りの主張を展開されていたわけですが、なぜ多くの人がハマスを支持しているのかについて、少しわかったような気がしました。
少なくともハマスをテロリスト集団と決めつけ、援助をストップし、話し相手としても認めない、というのでは埒があかないでしょう。
来週土曜日、「パレスチナとイスラエルの対話――この1年を回顧する」という公開シンポジウムを開催します(→CISMOR)。ここでは、二人のパレスチナ人と二人のイスラエル人をスピーカーとしてお迎えしますが、その前に、タミーミー氏の意見を聞けたのは非常によかったです。
ちなみに、タミーミー氏は7月上旬にロンドンで開催される Islam Expo のオーガナイザーでもあります。
講演会のあと、三条河原町のトルコ・レストランで夕食を共にしながら、あれこれ楽しい会話を交わすことができました。さすがにヨーロッパにおけるイスラーム事情については、よくご存じでした。
タミーミー氏によれば、イスラームに対してもっとも敵対的なのはフランスとのこと。反対に、イスラームを受け入れる努力をもっともしているのが、英国とスウェーデンとのことでした。
ヨーロッパの多文化主義や「ヨーロッパ的ムスリム」といった考え方にも批判的で、結局、それらは支配的な価値の押しつけであり、「よいムスリム」と「悪いムスリム」を選別するための思想だと手厳しく批判していました。
大いに刺激を受けた一時でした。