土作りと人作り
小原克博 On-Line に「チャペルアワー案内」の「聖書のことば」を掲載しました。きわめて短い文章なので、こちらにも載せておきます。
聖書の言葉は、イエスによる「神の国」のたとえ話の一つ。当時の宗教家たちは「神の国」について神学的、形而上学的に議論を戦わせていました。そんな「神の国」論議に対する痛烈な皮肉も、このイエスのたとえには含まれています。
「もっと、足下見てみぃや~」というイエスの声が聞こえてきそうな箇所です。
(以下、「チャペルアワー案内」より引用)
神の国は次のようなものである。人が土に種を蒔いて、夜昼、寝起きしているうちに、種は芽を出して成長するが、どうしてそうなるのか、その人は知らない。(マルコによる福音書4章26―27節)
私は野菜や果樹を作ることを趣味にしているが、よい収穫のためには土作りを欠かすことができない。化学肥料は実を大きくしたりする上で確かに速効性がある。しかし、長い目で見ると、土全体を貧弱にしてしまう場合が多い。私はコンポストで生ゴミ等をたい肥にして、オリジナル・ブレンドの土作りを楽しんでいるが、土が自ずと実を結ばせる不思議にはいつも新鮮な驚きを与えられる。
人を育てるにも「土」にあたるものが大事だ。速効性ある教育は今の流行であるかもしれないが、右の聖書のことばから何を聞くべきか。私は十年、五十年という年月が経って、その実りを驚きをもって味わうことができるような「土」作りに携わりたいと願っている。