オランダにおける宗教状況
今日はCISMORの研究会で、オランダ・ユトレヒト大学のエリック・オッテンハイム氏から話を聞き、ディスカッションをしました。彼はカトリック神学者ですが、主としてプロテスタントの学生にユダヤ学を教えているという興味深い人物です。
今回は、オランダにおけるユダヤ人問題を中心に話を聞きました。戦前、オランダ総人口の25パーセント以上をユダヤ人が占めていたのですが、今では2、3パーセント程度しかいないということです。言うまでもなく、この変化はナチズムのユダヤ人大虐殺(ホロコースト)によるところが大きいですが、今なおユダヤ人の問題は大きな課題であるとのことでした。
特に最近、プロテスタント教会が作った新しい祈祷書の表現をめぐって、それが反ユダヤ的な要素を持っているのではないか、という大激論が起こったそうです。
オランダも都市部ではムスリムの人口比がかなり高く、ムスリム移民の問題が社会的には大きな関心となっているとのことでした。しかも、9・11以降の変化が大きいという指摘を聞き、9・11が引き起こした変化はかなりグローバルであることを改めて感じさせられました。
ユダヤ人の宗教的コミュニティが近年復活しつつある、というのも、興味深かったです。若い世代の中には単にオランダ人として生活するだけでなく、自らの宗教的アイデンティティを模索する動きが強くなりつつあるということです。この点では、ヨーロッパにおけるムスリムの第二世代、第三世代の動向と似ているとも言えます。
オッテンハイム氏の公開講演会が下記のように1月14日(土)に予定されていますので、関心ある方はぜひお越しください。
■CISMOR公開講演会
「何のための対話か?―オランダにおけるキリスト者とユダヤ人」
・日 時: 2006年1月14日(土)14:00~16:00
・会 場: 同志社大学今出川キャンパス 神学館3階 礼拝堂
・講 師: エリック・オッテンハイム(ユトレヒト大学)