KOHARA BLOG

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ジハード論

051022 22日(土)、塩尻和子先生(写真)による「クルアーン解釈からみるジハード論」の講演がありました。クルアーン(コーラン)の章句からジハードの意味を説き明かし、イスラームには暴力を容認する論理がある、といった主張に対する反論が展開されました。
 質疑応答の中では「仏教は戦争をしないし寛容であるのに対し、聖書を読んでも、一神教は本来的に暴力と結びついている」といった意見もありました。来聴者の関心がどのあたりにあるのかがわかり、質疑応答も興味深かったです。
 わたしは司会をしていたのですが、「質問は簡潔に」といくら強調しても、長々話そうとする人は毎回います。(^_^;) わたしは途中でストップさせますが。
 今日の講演会は本当は全体で2時間の予定だったのですが、な、なんとわたしが勘違いをして1時間半で終わってしまいました。3:30終了の予定だったのですが、3:00過ぎには終わっていました。なぜだろう~?と思われた方も多かったと思います。疑問に思われた方、すみませんでした。わたしが終了時間を勘違いしていました。(^_^;)

 講演会の後は、場所を変えて、引き続きジハード論をテーマに研究会を行いました。この分野の専門家である中田先生に発表をしてもらいました。人手不足から、研究会の司会もわたしが行いました。司会はしゃべれないので、あまり好きでないのですが、仕方ありません。

 中田先生は、ジハードの用語法から、現代のジハード論までを幅広く話してくださいました。islamistの中にjihadistがおり、さらにjihadistからtransnational jihadist(例:アルカイダ)が誕生してきます。jihadistが「近い敵(背教のアラブ支配者)」の打倒を目指すのに対し、transnational jihadistは「遠い敵(アメリカとその同盟国)」をターゲットにします。近い敵か、遠い敵か、という優先順位が異なるため、この二種類のjihadist同士が敵対しています。

 ジハード理解は、シーア派とスンニ派では異なります。幸い、イランの専門家が3名もおられたので、シーア派のジハード理解についても聞くことができました(ちなみに、中田先生はスンニ派)。

 この分野、あらためて奥が深いことを痛感させられました。同時に、イスラーム世界におけるジハード論を把握しておかなければ、まともな中東政策や安全保障を打ち出すことはできないだろうと感じました。この点、アメリカは失敗しているように思います。
 アルカイダを追い込むためには、本来、イスラム世界の中で彼らを敗北させる状況を作らなければならないにもかかわらず、その状況そのものを悪化させ、アルカイダが暗躍する素地をかえって作ってしまっているからです。

 ぼちぼち考えていきます。

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