スーダンにおける紛争
今日はCISMORの研究会がありました。Issam Mohamed氏に「スーダンにおける紛争――イスラームとキリスト教、原理主義をめぐって」をテーマとして話をしてもらいました。
また、彼の親友である武岡氏(名古屋大学名誉教授、農学博士)にはMohamed氏にまつわるエピソードや、スーダンの基礎情報について話をしてもらいました。
1時間ほどの話の後、2時間に及ぶディスカッションをしました。わたしは司会をしていたのですが、特に誘導する必要もないくらい議論が白熱しました。
23年に及ぶ、スーダン南部地域におけるクリスチャンとムスリムとの抗争や、ジェノサイドと言われたダルフールの事件など、話題には事欠かないのですが、近代的な国家概念を前提できない状況や経緯を知れば知るほど、その複雑さにめまいがする思いがしました。
ともあれ、Mohamed教授がとりあげようとした焦点の一つは、イスラーム過激派や原理主義の問題で、特に、原理主義の定義を巡っては議論が百出しました。
イスラーム社会は、スーダンに限らず、部族を中心とした社会形成をしているので、「国家」という考え方を共有することがいかに難しいかを、あらためて感じさせられました。
多様な部族、異なる宗教(イスラーム、キリスト教、無数の伝統宗教)を統合していくために"Sudanization"(スーダン化)の試みもあるようなのですが、なかなかうまくはいっていなとのことでした。
また、若者の間にイスラーム急進派の考えが浸透しやすい状況であることも印象に残りました。Mohamed教授の息子もその影響を受けた時期があり、兄弟たちに向かって、テレビを見るなと言っていたそうです。宗教的な理由からです(健全な精神が毒される、ということだと思います)。ちなみに、イスラーム社会では、一般的に、ビン・ラディンはヒーロー扱いをされており、それはスーダンでも例外ではないとのことでした。
もちろん、悲観的なことばかりが話題になったわけでなく、南部地域における紛争に和解がもたらされた背景には、ムスリムとキリスト教徒の間の対話を推進しようとした指導者たちがいました。
3時間に及ぶ研究会のあとは、同志社大学のはす向かいにある居酒屋「白木屋」に場所を移し、さらに2時間ほど議論を交わしました。
ぜひスーダンに来てほしい、と今回も念押しされました。冬がいいそうです・・・