あかすり、犬肉、独立記念館
23日は大田(テジョン)、公州(ゴンジュ)、天安(テンアン)を回りました。
朝起きて、テジョンを出発し、ゴンジュにあるキム・ジンヒさんのご自宅を訪問しました。韓国の朝ご飯を家族の方々と一緒にいただきました。その後、松の実から作ったお茶をいただきました。韓国の一般家庭におじゃましたのは、今回が初めてでした。
ゴンジュは、かつての百済の首都だったので、当時の遺跡がたくさん残っていることでも有名です。午前中はゴンジュ国立博物館を訪ねました。そこには、1970年代に発掘された1500年ほど前の百済の王様のお墓の様子などが展示されており、その保存状態のすばらしさに驚くと共に、奈良を中心に見られる百済文化の影響との接点を再発見することができました。
その後、温泉(日本の銭湯に近い雰囲気)に行って、初めて「あかすり」をしてもらいました。力を入れて、ごしごしこすられるものですから、最初は猛烈に痛かったのですが、途中から慣れてきて、最後はかなり気持ちよかったです。
この温泉の湯船につかっていたとき、突然、70歳を越えるようなお年のご老人から日本語で話しかけられました。その方も、きわめてローカルな温泉に日本人が来ているのに驚かれていた様子でしたが、日本語でのやり取りをする中で、かつて日本が強制した日本語教育および軍国主義の傷跡をかいま見たような気がしました。そのご老人が非常に柔和にしゃべりかけてくれただけに、余計に胸が痛みました。
温泉を後にして、キム・ジンヒさんのご家族と共に、昼食に犬肉を食べました。ジンヒさんのお父さんがすすめられるので、わたしもチャレンジする気持ちになりました。
犬肉を食する習慣は、欧米人からはしばしば野蛮であると批判をされ、ソウル・オリンピックの頃にも問題になって、今ではソウル市内でも、表通りで犬肉料理店を見かけることはめったにありません。
豚でもなく牛でもなく鳥でもない肉料理を食べるのは不思議な感覚です。ペットとして愛玩されている犬を食べるのは残酷だという、欧米流の批判もわからないわけではありません。しかし、犬肉を食べることによって、動物を「食べる」ということの意味をあらためて考えさせられたように思います。犬は人間との近さのゆえに「かわいそう」という目で見られます。
しかし、豚も牛も鳥も人間に食われる運命にあるものは、本来、みな同じように哀れみの目が注がれるべきです。しかし、わたしたちは日常の祝習慣の中で、他の動物の命を喰らって生きているという感覚を摩耗させてしまっています。パッケージ化された精肉食品に対して、わたしたちは高いか安い、おいしいか、おいしくないかという商品価値しか感じ取れないくらいに鈍感になっています。骨と皮が付いた犬の肉を食べながら、おいしい、おいしくない、という味覚を越えて、命を喰らって生きているということの意味を考えさせられた次第です。
その後、ゴンジュを後にし、テンアンにある独立記念館を訪ねました。広大な敷地の中に、日本からの独立を祝うモニュメントや、博物館が多数あります。日本による占領時代(日帝時代)を語る様々な歴史資料が展示されており、しばし、言葉を失いました。頭ではわかっていたつもりでも、このような場に来て、朝鮮半島に刻まれた歴史の証言に対面すると、頭をがつんとやられたような気持ちになりました。この独立記念館のサイトには日本語ページもありますので、関心ある方はご覧ください。
ゴンジュから、高速バスに乗って、一路、ソウルへと急ぎました。ナンタ公演を要約していたからです。公演にぎりぎり間に合い、ナンタの打楽器を中心とするエネルギッシュかつユーモラスなパフォーマンスを楽しむことができました。
夜は、東大門にある斗山(トゥーサン)タワーで買い物をしました。一つは眼鏡です。日本の半額以下で買うことができますし、また、レンズの在庫が豊富にあるので、30分で作ってくれます。
今度、写真で登場するときには、新しい眼鏡をかけているかもしれませんね。(^_^;)
というわけで、23日は非常に密度の濃い一日でした。
■独立記念館
https://www.i815.or.kr/