KOHARA BLOG

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宗教倫理学会 研究会

 今日は、宗教倫理学会の定例の研究会がありました。
 塩尻和子先生(筑波大学)が「クルアーンの死生観」をテーマに話してくださいました。
 イスラームの死生観は、ユダヤ教やキリスト教に似ている点もありますが、独自の強調点を持っていることが、よくわかりました。その特徴の一つは、死者と生者の間に明確な区別を設けないということでしょう。クルアーン(コーラン)によれば、現世も来世も人間が生きる場所として、神によって定められています。

 話題は現代の問題にも及びました。脳死・臓器移植は、アラブ世界でも熱心に議論されているとのことでした。宗教的にはきわめて保守的なサウジ・アラビアで、不思議なことに、脳死・臓器移植は認められています。他方、比較的リベラルな国家であるエジプトでは、脳死・臓器移植は禁止されているらしいです。
 イスラーム指導者は、医療の世界に対しても、しばしば発言をするそうですが、なぜ、サウジ・アラビアでは、一般的にイスラームでは許容されていない脳死・臓器移植が許されているのか、どうしても気になり、質問してみました。
 塩尻先生の推測によると、サウジ・アラビアの王族たちが、臓器を必要としているからではないか、ということで、妙に納得してしまいました。

 この研究会に、同志社大学神学部に客員研究員として来ている Anders Melin 氏を連れて行きました。彼は、仏教における環境倫理に関心を持っているので、仏教を専門とする先生たちを彼に紹介したいと思ったからです。
 Melin氏は日本語がほとんどわからないので、わたしが隣に座って、拙い英語で発言の要約をしました。イスラームの専門用語は、キリスト教に近いので、まだ何とかなります。でも、仏教の用語には、ほとほと参りました。
 基本的な用語であっても、定訳が分からないので、苦労しました。
 輪廻、往生・・・ みなさん、英語ですぐ言えますか? 輪廻は transmigration、往生は birth in pure land です。birth は rebirth になることもあるそうですが、rebirth では間違いだ、という声もあります。

 日本語でもよくわからないことを、英語で表現するのは至難の業です。どっと疲れました。(^_^;)

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