KOHARA BLOG

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文明の対話とセーラームーン

040306

 今日は、同志社大学21世紀COEプログラム「一神教の学際的研究:文明の共存と安全保障の視点から」の部門研究会に参加しました(わたしは司会でした)。最初に、鎌田繁先生(東大・東洋文化研究所)により「イスラームと一神教の展開」と題して話をしていただきました。
 イスラームの神理解についての基本的事柄から、一神教/多神教の枠組みの再考に至るまで貴重な問題提起をしていただきました。キリスト教神学では万有在神論(panentheism)(すべてのものの中に神の顕現があるという考え)は、近年目にすることの多い神理解なのですが、イスラームにおいても万有在神論に近い神理解(たとえば、イブン・アラビー)があるという指摘は興味深かったです。
 一神教か多神教かという単純な二項対立では尽くすことのできない問題が存在していることは明らかなようで、この課題は新年度に引き継がれていきます。
 今日のディスカッションは非常に知的刺激に満ちていました。これまでイスラーム研究者が持つユダヤ教やキリスト教に対する疑問に、それぞれの専門家が答えていくといった機会はなかったのではないでしょうか。この研究会ならではの、新しい知の交流が目の前で繰り広げられているのは実に刺激的でした。
 「司会がすばらしかった!」との声もありましたので、わたしとしても、ほっとしています。(^_^;)

 上の写真の中央が鎌田先生、右はコメンテーターに当たっていた中田考先生(神学部)です。
 中田先生は一見あやしげな感じもあるのですが、正統派イスラムのハード・ライナーです。
 中田先生とはいつもいろいろなテーマで議論を交わしているのですが、先日、ジハード論について話していたとき、「セーラームーンの録画時間を間違えた」と言って、たいそう悔しがっておられました。わたしはセーラームーンというとアニメの再放送かと思って、「どのセーラームーンですか?」と聞くと、何と実写版の新しいセーラームーンが始まっているとのこと。いや~、驚きました。
 そこからアニメ談義に移り、果ては日本文化論に。今や日本が世界に誇れるものはマンガやアニメしかないのではないかという話になりました。「これから世界を救えるのはキリスト教やイスラームではなく、やっぱり、セーラームーンですよね。わっはっは~」という具合です(←冗談ですので本気にしなでくださいね)。
 正統派イスラム学者とリベラルなキリスト教神学者がセーラームーンで盛り上がり、大声で笑いあえる日本は、なんだかんだ言っても、平和な国なんでしょう。しかし、こうした共感と笑いとが、文明の対話の「種」になるに違いないと、わたしは日々思っています。
 というわけで、文明の対話の「種」セーラームーンのオフィシャル・ページを紹介しておきます。アニメのセーラームーンしか知らない人は、きっと驚きますよ。土曜日朝7:30からはセーラームーンをお忘れなく。(^_^;)

■美少女戦士セーラームーン公式ホームページ
https://sailormoon.channel.or.jp/

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