アメリカの公教育と宗教
先日紹介した講演会が行われました。これまでも各国の宗教教育の事例を公開講演会を通じて学んできましたが、今回の講演会は一番わかりやすかったような気がしました。といのも、講師のマルシア・ビューチャンプさんが、様々な教育現場にかかわってきた事例を具体的に取り上げてくれたからです。
ポイントは、政教分離原則を定めている合衆国憲法修正第一条(First Amendment, 1791年)を現在のアメリカ社会がどのように受けとめているのか、ということでした。
修正第一条とは「連邦議会は、国教の樹立(establishment of religion)を規定し、もしくは信教の自由な行為(free exercise thereof [=of religion])を禁止する法律を・・・・制定することはできない」というものです。
この条文からもわかるように、アメリカの政教分離の特徴は、自由な宗教活動を保障しようとする点にあります。これは、宗教を公的な場所から排除しようとする、フランスや日本の政教分離とは、ずいぶん異なる点です。
講演のフルテキストは近日中に、一神教学際研究センターのHPで公開されますので、詳細はそちらをご覧ください。
講演終了後、神学部の森先生、越後屋先生、そしてビューチャンプさんと会食に出かけ、そこで濃密な会話をすることができました。役得ですね。(^_^;)
ここでの裏話を一つ紹介。貧しかったビューチャンプさんが家業のビューティ・サロンを継ごうとしていたときに、高校の先生の進学を勧める一声で、大学に行き、ハーバード神学校で修士号を取り、現在に至っているとのこと。彼女の歩みは、一つのアメリカン・ドリームと言えるでしょう。教師の小さな一声が、人の人生を変えるということ。胸に刻んでおきたいと思いました。
さて、最後に関連サイトの紹介を。一つはビューチャンプさんが所属しているFirst Amendmente Centerのページ。もう一つは、政教分離について、わたしが『論座』(朝日新聞社)に書いた論文です。
■First Amendmente Center
https://www.fac.org/
■「日本人の知らない政教分離の多様性」、『論座』2001/10
https://theology.doshisha.ac.jp:8008/kkohara/essay.nsf/
504ca249c786e20f85256284006da7ab/b426bffc5b1fac6449256ac100513975?OpenDocument